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2013年3月16日 (土)

日本防衛論/中野剛志

Photo そもそも、中国の成長モデルは持続不可能なものだった。中国は、賃金上昇を抑えて競争力を維持し、国内消費を抑えて投資に偏重し、輸出主導の成長を追求した。そして素材や中間財を輸入し、加工・組み立てした最終製品を欧米に輸出し、稼いだ貿易黒字は国内に還元せず、海外投資に向けた。中国の輸出はGDP(国内総生産)の三割近くを占めた。
 しかし、この成長モデルは、一方的に輸入する巨大な消費市場がなければ成り立たない。それがアメリカであった。だが、アメリカの消費が旺盛であったのは、住宅バブルのおかげに過ぎなかった。日本をはじめとするアジアの中間財輸出国や資源輸出国は、中国への輸出で潤っていたが、それは中国の成長というよりは、中国の輸出先であるアメリカの住宅バブルのおかげだったのである。したがって、アメリカの住宅バブルが崩壊し08年のリーマン・ショックで欧米が深刻な不況になれば、当然の帰結として、中国そしてアジアの成長も終わってしまうのである。

世界は今、「気候変動」「軍事」「国際政治」「エネルギー」「食糧」「自然災害」などのグローバル・リスクに直面していると著者は述べる。

これらのリスクが想定されているにもかかわらず、何か事がおこったら「想定外」と言うのは、単なる責任逃れにすぎない。

やはり想定されるリスクに対しては、十分な対策を練るべきだろう。

そして、今、大きな問題となっているものに中国リスクがある。

迫りくる中国のリスクに対応するためには、はっきりとした戦略と具体的な対策が必要だ。

中国は、先進諸国とは異なり、内需が拡大しにくい経済社会構造をもっている。

中国のGDPのうち、労働所得の占める割合が非常に低く、4割程度しかない。

労働所得の低さは、家計消費に悪影響を及ぼす。

実際、中国のGDPに占める家計消費の比率は35%以下しかない。

家計消費の割合が低ければ、景気刺激策を講じても、内需拡大の効果は限定的になる。

また、一人っ子政策の影響で、中国は近い将来、高齢化していく見込みである。

そしてこの高齢化が、成長を鈍化させることも明らか。

戦後の日本は、中所得国から高所得国への移行を成し遂げた。

70年代の世界不況を乗り切って、高度成長から安定成長へと転換することにも成功した。

しかし、同じ高度成長でも、今の中国とかつての日本とでは条件が大きく異なる。

ここに注意を払わなければ、中国が直面している問題の本質を見失うことになろう。

そして、今後、この大国とどう付き合っていくのか、大きな課題である。

この国のリーダーははっきりとした方向性を示すべきだろう。

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