奮い立たせてくれる科学者の言葉90/夏川賀央
大脳新皮質が高度の発達した人間は、放っておいても自発的な知的好奇心を持つ動物だと言うことだ。だから、本来は子どもたちは勉強が好きなはずなのだ。それが勉強嫌いになったというのは、教育方法に何か大きな欠陥があるということに他ならない。 ~河合雅雄『子どもと自然』より
本書では90の科学者の言葉を紹介している。
何れも、偉大な業績を上げた科学者の言葉であるだけに、様々な気づきを与えてくれる。
上記は、その中の一つ、サルの研究で世界的な権威となった河合雅雄博士の言葉。
博士はもともと「人を知る」ために「サルの研究」を始めたという。
そして現実に、その研究は大きなことを教えてくれる。
たとえばチンパンジーは、勉強することが大好きだということ。
同じ図形を探すような問題を解かせていくと、最初はエサ目当てだったのが、そのうち知的好奇心に目覚めて、どんどん難しい問題に挑むようになっていく。
ところが強制されるようになると、「自由を求める心」が反発を生み出し、嫌がるようになる。
人間も全く同じである。
人間も、もともとは探究心に満ち溢れているはず。
ところが強制されるようになると、勉強することを嫌がるようになる。
これが積み重なると、勉強が嫌いになる。
これは自分の経験に照らしみてもそうである。
今でも覚えているのは、中高生時代、歴史が大嫌いだったということ。
歴史年代を丸覚えさせられるのが、苦痛でたまらなかった。
しかし、大人となった今、歴史には非常に興味があり、それに関する本もよく読む。
おそらくそういう人がたくさんいるのではないだろうか。
一番好奇心が旺盛な子供時代、勉強を強制されることによって勉強嫌いになってしまったとしたら、それは人生における大きな損失である。
今のような変化の激しい時代、自らのキャリアのためにも一生勉強しなければならないと言われている。
そんな中、勉強嫌いにさせられたということの損失は計り知れない。
本書で紹介する科学者の中で強制されて研究した人は1人もいない。
難しいテーマであろうとも、その探求自体が面白くて努力を続けた人ばかりである。
偉大な研究や発見もそこから生まれたといっても良い。
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