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2013年4月10日 (水)

ネットと愛国/安田浩一

Photo  ネット掲示板などを通じて「愛国」や「反朝鮮」「反シナ」「反サヨク」を呼びかける者たちは、一般的にネット右翼と呼称される。朝から晩までパソコンや携帯にかじりつき、「朝鮮人は死ね」などと必死に書き込む者たちの存在は、ネットが一般化した90年代以降、急速に目立つようになった。当初こそこのネット右翼は、いわば変形型の「オタク」に位置づけられていた。匿名性を盾に差別的な言辞を繰り返す様から、攻撃的な引きこもりと揶揄されることもある。
 一方、今世紀に入った頃から、そうしたネット右翼のなかにも、キーボードを連打するだけでは飽き足らず、リアルな「連帯と団結」を目指す動きが活発化した。あくまでもネットを利用して情報収集、交流、呼びかけをおこないながら、「闘いの場」をネットの外にも広げたのだ。
 米田言うところの「ネット掲示板で、保守的な意識をもって〝活動〟してきた人たち」が、すべてそこに当てはまるとは言えないが、このネット右翼なる〝資源〟がなければ在特会も存在しなかったであろう。
 ちなみに米田は、ネット言論が大きく〝右に振れた〟要因として「日韓ワールドカップ」と「小泉訪朝」の2つをあげた。いずれも2002年の出来事である。なかでもワールドカップは「ネット言論におけるエポックメーキングだった」とまで断言した。

この数年間で会員数を急速に増やしている在特会という右翼の団体がある。

発足時の会員数は500名。

当初の目標とされていた会員数1万名はわずか4年間で達成している。

この種の団体としては急成長を遂げたといって良いだろう。

では、なぜ、在特会は短期間で急速に会員数を増やしていったのか?

在特会広報局長の米田隆司によると、「日韓ワールドカップ」と「小泉訪朝」の2つ、中でもワールドカップは「ネット言論におけるエポックメーキングだった」とまで断言している。

日韓両国による共催という形でおこなわれたワールドカップが残したものは、韓国に対する失望と嫌悪だった、と。

数々のラフプレー、サポーターによる日本選手へのブーイングなど、本当にすさまじかった。

韓国国民の品格を疑いだした日本人は多くいた。

それまでは韓国に親近感を持っていた人ですら『ワールドカップで目が覚めた』と、一気に嫌韓感情を膨らませたケースも多い。

当時の「2ちゃんねる」では、韓国選手やサポーターの一挙手一投足をあげつらったスレッドが乱立、いわゆる「祭り」状態となっていた。

韓国側のナショナリズムに煽られ、日本人の一部もまた、眠っていたナショナリズムが刺激された側面もあった。

たしかに韓国側サポーターのなかには極度に政治的な者もいた。

日本が負ければ喜び、日本が勝てば日の丸を踏み潰すといった韓国側サポーターの姿に、憤慨した日本人も少なくはなかった。

その憤りを手軽に表明できるのが、ネットの世界だった。

ネットは間違いなく、ナショナリズム高揚をもたらす酵母菌の役割を果たした。

つまりナショナリズムを刺激された日本人にとってネットは格好のツールとなったということ。

ネットであれば表の顔と裏の顔を上手に使い分けることができる。

普段は善良な普通の日本人の顔をもっているが、いったんネットの世界に入ると過激な言葉を繰り出す。

事実、著者が何人かの在特会の会員と会って話してみたところ、おとなしい普通の人が大部分だったとのこと。

今や、ネットというバーチャルな世界は、無視することの出来ないほど強い影響力を持ち始めたということではないだろうか。

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