« ビジネスマンのための「儲かる発想」/鳥井シンゴ | トップページ | ヤバい経営学/フリーク・ヴァーミューレン »

2013年5月22日 (水)

東電OL禁断の25時/酒井あゆみ

25  企業戦士にとって一番の苦痛は〝暇〟だとよく言われる。彼らは、会社のために忙しく働くことこそが自分の存在価値のように思っている。子供の頃から頭脳明晰でエリートコースを歩んできた裕子さんも、東電に入社後は、ひたすら仕事で評価されることだけを考えて懸命に仕事をしてきた。 前出の東電社員も、「同期の中では間違いなくトップだったと言われていますし、本人もそれを自覚していたのでしょう。常に肩肘を張って仕事していたようです」と証言している。
 そんなふうに生きている人種は会社から切り離されて時間がポッカリ空いた時、自分の身の置き場所がわからず、程度の差こそあれ、みな一様に戸惑うようだ。
 裕子さんの場合は、ことにその戸惑いが大きかったのだろう。

東電OL殺人事件については、ジャーナリストの佐野眞一氏の著書が既に出ているが、本書は夜の渋谷で同僚だった著者が、風俗嬢の立場から被害者の心の闇に迫っている。

被害者が風俗に走ったのは、東電の関連会社、日本リサーチ総研に出向してからだと言う。

東電から日本リサーチ総研に出向した社員はこれまで一人もいなかったという。

先輩や同僚からの情報はほとんどなかったろうし、共通の知り合いもいない。

そんな中で、知らない人たちの中に一人ポーンと放り出される不安はそれだけでも大きなプレッシャーだったのではなかろうか。

そんな中で被害者が精神のバランスを崩していったのではないか。

そしてそのバランスを保つために〝何か〟が必要だったのではないか。

被害者は職場では入社以来「エイリアン」と呼ばれていたという。

つまり普通のOLとは一線を画すエリートだった。

あの時代、女性が保守的な風土の強い大企業で自らのキャリアを切り開くというのは、思った以上の大変なことだったのではないだろうか。

一頃、〝企業戦士〟という言葉がはやった。

高度成長期の企業の躍進を支えた男性社員のことをさしたものだが、

ある意味、この被害者も女性版〝企業戦士〟だったのではないだろうか。

しかも、その戦場で戦死してしまった戦士である。

今、女性の社会進出が課題になっているが、いろんな意味で考えさせられる本である。

« ビジネスマンのための「儲かる発想」/鳥井シンゴ | トップページ | ヤバい経営学/フリーク・ヴァーミューレン »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/555602/57434950

この記事へのトラックバック一覧です: 東電OL禁断の25時/酒井あゆみ:

« ビジネスマンのための「儲かる発想」/鳥井シンゴ | トップページ | ヤバい経営学/フリーク・ヴァーミューレン »