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2013年5月28日 (火)

「もう、うんざりだ!」自暴自棄の精神病理/春日武彦

Photo 「自暴自棄」の反対語は何だろうか。個別の事例によって異なってはくるだろうが、たとえば「希望」が相応しいこともあるだろうし、「開き直る」とか「歯を喰いしばる」「淡々」といった言葉が当てはまることもあるだろう。「苦笑」という言葉が適切なケースもあるに違いない。
 だが、あえてひとつだけに限定するなら、「深呼吸」という一語をわたしは挙げたい。とりあえず立ち止まってみる、シンプルきわまりない動作に集中してみる、身体の内部を一時的に空っぽにしてみる。 そのようなプロセスを経て「我に返る」可能性を、深呼吸は孕んでいるからである(さらに気持ちを共有してくれる人が横にいれば、とげとげしい気持ちは希釈され薄まるだろう)。
 当然のことながら、我々はいつも呼吸を繰り返している。だが深呼吸は特別である。普段の呼吸の延長に深呼吸はある筈なのに、しかもそれには暴走しかけている気持ちを抑える効能があるというのに、肝心なときについ深呼吸を忘れてしまう。こんな簡単なことなのに。それが我々なのである。

自暴自棄に陥ることは誰にでもある。

本書は、人はどうして自暴自棄に陥るのか、その事例を自らの体験や小説の登場人物から紹介している。

ここで著者は、自暴自棄の反対語は「深呼吸」だと言っている。

ナルホドと思った。

何かの大きな役割を果たそうとする時や試験の前など、私たちは深呼吸をして自らを落ち着かせようとすることはよくある。

ところが、自暴自棄に陥っている時は、その余裕すらもなくなっている。

たとえば、自暴自棄に陥ってしまい、藁をもすがる思いで精神科医を訪ねたとする。

そしたら、精神科医から「深呼吸でもしてみたら」とアドバイスされたらどうだろうか。

おそらく「何のために高いお金を払って診てもらっていると思ってるんだ」と腹を立てるだろう。

あるいは「そんなことは無駄だ」と聞く耳を持たないだろう。

つまりそのくらい心の余裕がなくなっているのが自暴自棄の状態なのだ。

だから、逆説的だが深呼吸できるということは、自暴自棄の状態からある程度脱しているということがいえる。

「自暴自棄」の反対語は「深呼吸」

シンプルだが、本質をついた考え方だ。

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