ずる 嘘とごまかしの行動経済学/ダン・アリエリー
「どうにでもなれ」効果という観点か見ると、人はごまかしにかけては、ダイエットととても似た方法で行動することがわかった。いったん自分の規範を破る(ダイエットでずるをしたり、金銭的報酬を得るためにごまかしをする)ようになると、自分の行動を抑えようという努力をずっと放棄しやすくなる。そしてそれ以降、さらに不品行なことをする誘惑に、とても屈しやすくなるのだ。
人は誰もが嘘やごまかしをする。
「私はいまだかつて一度も嘘をついたことはありません」という人がいたとしたら、その人は100%嘘をついている。
本書は、人はなぜ嘘やごまかしをするのか、そのメカニズムを解き明かしたものだ。
人は誰もが好ましい自己イメージを保ちたいと思っている。
一方、ごまかしをしてでも利益を得たいという欲求をもっている。
そしてこの二つの矛盾する欲求の微妙なバランスをとろうとする。
ところが、何かの瞬間、そのタガが外れることがある。
それは丁度、ダイエットをしていて、自分自身に課したメニューをつい破ってしまった時、「もう、もうどうにでもなれ」と、どんどん好きなものを食べ出しリバウンドするのと似ている。
よく「身なりは人をつくる」というが、それはある意味、合理性がある。
なぜなら、よいものを身につけることにより、人は自分の内側も外見にふさわしくなろうという強い意識がうまれるから。
嘘やごまかしに自分の身を委ねないポイントの一つは、いかに「正しい自己イメージ」を持ち続られるかということのようだ。
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