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2013年5月24日 (金)

英傑の日本史 激闘織田軍団編/井沢元彦

Photo  本能寺の変には、様々な黒幕がいたという説がある。しかし、そのどれにも私が納得できないのは、光秀が同じ京にいた信長の長男信忠に対し、最初は何の攻撃も仕掛けなかったことだ。
 黒幕が秀吉だったとしよう。確かに信長が滅んだことによって結果的に天下を得た。だが、それを可能にしたのは、信長と共に長男信忠が討たれたからだ。もし信忠が生き残っていたら織田政権の後継者は信忠で決まり、誰も口を挟めない。逆に言えば秀吉が黒幕なら光秀に必ず信忠を殺させなければ ならない。結果的に信忠も殺されたが、実はあの時、信忠は逃げようと思えば逃げられた。光秀は何の手配もしていなかったのだ。
 やはり、単純な結論ながら、あれは光秀の発作的犯行だろう。「発作的」であったからこそ、さすがの天才信長も「読む」ことができなかったのである。

本書は、織田信長を軸に、その周辺の人物の謀略の数々と人間関係の妙を記しており、読み物として面白い。

「私は歴史上の人物としては信長が好きだけれども、この人物が現在のどこかの会社の社長だったら、絶対に仕えようとは思わない。」と著者は述べているが同感である。

その戦略は独創的で他の追随を許さない。

誰よりも早くに会社にやってきて、一番最後に帰る。

しかも、人にも厳しいが自分もバリバリ働き、決して手を抜かない。

こんな気の休まらない上司はいない。

そして、人間を道具のように見ているから、役に立たなくなった部下はばっさりと切る。

アップルの創業者ジョブズ氏も、傍から見ると魅力的な経営者だが、独裁者としても有名だった。

おそらく彼の周りの部下たちは戦々恐々としていたのではないだろうか。

同様に、信長より年上の光秀は体力気力の衰えと共に、その恐怖におびえただろう。

光秀は、歌も詠み王朝文化を愛する古典的教養主義者であった。

光秀という男は目先の損得よりも、「正義」や「哲学」で動く人間だったようだ。

まさにインテリである。

それに対して、信長は将軍義明や天皇さえも自分の野望を達成するための「道具」として利用する男である。

つまり、光秀の正義に反する男であったということだ。

信長はいかにも野蛮で、光秀とは水と油である。

そんな中、信長が少人数で本能寺に宿泊するという、千載一遇のチャンスに恵まれた。

もしこのことがなければ、光秀はあんな過激な行動には出なかったろう。

だが、天はそれを与えた。

本能寺の変は光秀の突発的な行動だった。

そのように著者は述べている。

ただ、本当のところは誰にもわからない。

歴史には解明されていないところが多くある。

そして、その部分はそれぞれが想像することが許されている部分でもある。

それが歴史の面白さではないだろうか。

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