桶川ストーカー殺人事件―遺言/清水潔
「もうだめだ、殺される」と詩織さんが島田さんに言い遺した言葉に、どれほどの思いが込められていたのか。自分の命がかかった最後の頼みの綱を切られた絶望の深さは、私には想像もつかない。そんな日々を送り、そして殺された二十一歳の女性がいたのだ。その事実を、警察は隠そうとしている。
本書の著者、清水氏は当時FOCUSの記者だった。
週刊誌の記者と大手新聞社の記者とは警察の扱いが全然違う。
というか、警察は週刊誌の記者をそもそも記者として認めていない。
大手新聞社の記者は記者クラブに入れるが、週刊誌の記者は記者クラブに入れない。
逆に言えば、大手新聞社は警察の流す情報をそのまま流すということ。
もし、警察が嘘をついていたとしても、その嘘を垂れ流すだけ。
事実、この事件は当初「通り魔事件」と報道されていた。
ブランド好きの男関係のルーズな女が通り魔に殺された、とマスコミは興味本位で報道した。
事件の真相を隠そうとする警察の思うつぼである。
しかし、事実はまったく違った。
それどころか、警察が猪野詩織さんを殺したといってもよい。
桶川ストーカー殺人事件の真相は週刊誌の記者だからこそ暴けたと言ってよい。
ひとりの週刊誌記者が、殺人犯を捜し当て、警察の腐敗を暴いた。
まさに「あっぱれ」という他ない。
同時にマスコミの流す情報を鵜呑みにすることの怖さを実感させられる。
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