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2013年6月19日 (水)

なぜ人は砂漠で溺死するのか?/高木徹也

Photo  読者諸兄は、こんな気持ちのいい瞬間を経験したことはないだろうか。満腹かつアルコールをきこしめした状態で、すこぶる愉快な気分で風呂にどぶんと浸かると、ふーっと眠くなるような至福の瞬間を……。あれは眠気に襲われているのではない。 実は、気絶しかけているのだ。食事後の副交感神経の優位と、アルコールと、入浴と。そのトリプルパンチで、脳への血流が急激に減少し、脳に血が足りない状態に陥っているだけ。医学用語で、「一過性脳虚血」という症状である。すっと意識が遠のくのは、一瞬、自分が死に近づいているのだと考えたほうがいい。

人間は意外な死因で、意外な場所で死んでいる。

例えば、風呂で溺死する人。

そのメカニズムはこのようなもの。

日々の生活のリズムとして、日本人は夕食の後で入浴することが多い。

これは、かなり危険な行動なのだという。

私たちの日々の行動は自律神経、つまり交感神経と副交感神経の微妙なバランスのうえに成り立っている。

日中は交感神経が活発になるからエネルギッシュに活動でき、夜は逆に副交感神経が働くことでリラックスできる。

医学的にいえば、交感神経は血管を収縮させ、脈を速くさせて血圧をあげようとする働きをし、副交感神経は血管を拡張させ、脈を遅くさせて血圧を下げようとする働きをする。

そしてアルコールには血管を拡張させる働きがある。

実際には副交感神経が働いていないのに、あたかも副交感神経が働いているのと同じ状態にしてしまう。

すると、それとバランスを取ろうとして、今度は交感神経の働きが活発になる。

血管が広がったせいで下がってしまった血圧をもう一度あげるために、まずは血管を収縮しようとする。

しかしアルコールの働きで、血管は拡張したまま戻らない。

そこで交感神経は、今度は脈拍を速めることで、血管に一定量の血液を送り出そうとする。

血管が広がって血流が緩やかになってしまった分を、脈拍の速さで補おうとするのだ。

その結果、私たちの脈は速まり、通常よりも激しい動悸を感じる。

一方、入浴もまた私たちの自律神経の働きに大きな作用をする。

お湯は自分の体温より温度が高いため、血管は体の外側からの温熱効果によって拡張する。

と同時に、日本人に好まれる42℃程度の熱めのお湯に入った場合は、交感神経もにわかに活発に働き出す。

その結果、ここでもやはり広がった血管に対抗するように、血流量を増やそうとして脈拍が速まる。

では、食事、飲酒、入浴を立て続けに行った場合はどうなるか。

まず、食事を終えた時点で、本人の体内では副交感神経の働きが優位になっており、血管が拡張し、脈拍は遅くなり、血圧も下がる。

そこにアルコールが入って血管はさらに拡張し、それに反して、心臓だけが少しドキドキした状態になる。

その状態で風呂に入ると、血管はさらに拡張する。

著者に言わせると、これほどの危険行為はないという。

私自身、食事、飲食、入浴のパターンを毎日繰り返し行っているわけだから、毎日身体に相当な負担をかけていることになる。

しかし、わかっていてもやめられないのが現実なのだが。

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