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2013年6月26日 (水)

さかのぼり日本史⑤幕末/三谷博

Photo  天皇と近代政治とを結びつける、その組み合わせの妙が重要な意味をもっていました。王政復古により天皇を挙国一致の中心にかつぎだし、それによって西洋諸国による侵略を防ぎうる体制を築く。このような合意が十数年も続いた政争のなかで徐々に形成され、それによって明治維新という日本史上もっとも大きな変革が実現されたわけです。

現在の日本の出発点に維新がある。

徳川幕府が倒れて天皇を中心とする明治日本ができた。

キーワードは王政復古である。

幕末の人々は共通して、西洋に対する危機意識をもち、連邦国家の日本が一つの国としてまとまる必要、つまり「挙国一致」を目指していた。

彼らは日本を救うための核を求めた。

「王政復古」はその模索の結果だった。

幕府を否定し、新たな政治システムを構築するにあたり「復古」の文言を使用するのは、現在から見れば違和感がある。

しかし、神武天皇の創業時代にさかのぼり、公家も武家も存在しなかった時代に立ち返るというのが、王政復古の真意だった。

つまり、幕府だけではなく、平安時代から続く摂関制も、さらに律令制さえも排除して、身分の上下の別なく、人びとが対等な立場で公議を尽くし、これからの日本の政治を運営していくのだという、非常に高邁な政治理念をうたったもの、それが王政復古の大号令だった。

幕末では、天皇の名を出すことによってそれまで発言出来なかった人々が発言しやすくなった。

自分も国づくりに参加できるという、非常にポジティブな面が優越していたように見える。

天皇の下に結集すれば国づくりに参加できる。

自分も公的な役割が果たせる。

そうした新時代のビジョンが当時の人びとに大きな希望を与え、勇気づけたことは間違いない。

極論すれば日本が一つになるために「王政復古」を利用したといってもよい。

新しい体制を構築する場合、何か「核」になるものが必要となる。

日本は今、岐路に立っている。

今の日本で「核」になるものは何だろう?

そんなことを考えさせられた。

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