スタンフォードの自分を変える教室/ケリー・マクゴニガル
意志力とはつまり、この「やる力」「やらない力」「望む力」という3つの力を駆使して目標を達成する(そしてトラブルを回避する)力のことです。これから見ていくように、私たち人類は幸運にも、こうした能力を備えた脳を授かることができました。実際、この3つの力──「やる力」「やらない力」「望む力」──こそが、人間とは何かを定義するものとさえ言えるかもしれません。
もし意志の力を強めることができれば、多くの問題は解決するだろう。
勉強ができないのも、スポーツでいい成績を残せないのも、人生の目標を達成できないのも、多くの場合、意志力と密接な関連がある。
では、そもそも意志力とは何だろう?
著者は意志力とは「やる力」「やらない力」「望む力」という3つの力を駆使して目標を達成する力だ、という。
たいていの人にとって、意志力が試される典型的なケースは、誘惑に打ち勝つことであろう。
例えばダイエット。
多くの人がダイエットに失敗するのは、目の前にある食べ物の誘惑に打ち勝てないから。
そんな場面で問われるのは、「やらない力」である。
しかし、意志力はノーと言うだけがすべてではない。
例えば、明日こそやろうと思いながら、ずっと先延ばしにしていることがよくある。
そういうことも、意志の力が強ければ今すぐやることができる。
そんな場面で問われるのは「やる力」。
面倒だなと思いながらも、自分のやるべきことをやる力である。
「やる力」と「やらない力」は、自己コントロールのふたつの側面を表しているが、意志力はそのふたつだけでは成り立たない。
ノーと言うべきときにノーと言い、イエスと言うべきときにイエスと言うためには、もうひとつの力、すなわち、自分がほんとうに望んでいることを思い出す力が必要。
誘惑に負けそうになったり、物事を先延ばしにしたくなったとき、どうやって踏みとどまれるか?
このような自制心を発揮するには、肝心なときに自分にとって大事なモチベーションを思い出す必要がある。
これが「望む力」。
本書はこの「やる力」「やらない力」「望む力」を高めるための様々なエクササイズを紹介している。
実行するのに困難なエクササイズもあるが、中には簡単に実行できそうなものもある。
例えば、呼吸法。
それは、呼吸のペースを1分間に4回から6回までに抑えること。
少し辛抱強く練習すればたいして難しくはない。
呼吸のペースを遅くすると前頭前皮質が活性化し、心拍変動も上昇する。
これが、脳と体をストレス状態から自制心を発揮できる状態に切り替えるのに役立つ。
このテクニックを数分間試すうちに、気分が落ち着いてコントロールが利くようになり、欲求や問題に対処する余裕が生まれるという。
これなどすぐに実行できそうだ。
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