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2013年7月16日 (火)

アメリカは日本経済の復活を知っている/浜田宏一

Photo  医学にたとえてみよう。他の国では、さまざまな動物実験や臨床実験が重ねられ、その結果として多くのことが判明している。それにしたがって治療法、すなわち政策が決められるのだ。
 しかし日本では、古い知識に凝り固まっている医者が、最新の研究結果をまったく利用しようとせずに治療法を決めている。そして、「金利が下がると日本銀行が不利になる」、あるいは「税金が下がると財務省の権限が少なくなる」などという不純な思惑のもと、中央銀行や経済官庁の利害によって、経済学者が何世紀もかけて積み上げてきた経済政策の論理が歪められてしまっているのだ。

本書は安倍首相のブレーンをつとめる著者の痛烈な日銀批判が中心となっている。

特に前日銀総裁、白川氏に対しては、かつての教え子だったということもあり、手厳しい。

著者によると経済学には様々な学派があるが、その中で常識となっているのは「不況の時にはマネーの供給量を増やせ」ということ。

だから、リーマンショックの時、各国は揃って金融緩和を行った。

ただ一つ、日本だけがそれをしなかった。

その結果、どうなったか?

円はドルに対して30パーセントも高くなった。

一方、韓国のウォンはドルに対して30パーセントも安い。

多くの日本の輸出企業は、韓国製品との競争において60パーセントものハンディを背負うことになった。

60パーセントものハンディを背負わされては、産業政策や生産性向上の努力では、絶対に太刀打ちできない。

その後エルピーダが破綻する。

円高によって破綻したのだといえる。

円高を放置してきたのは、それを止めることができたにもかかわらず無策だった日銀だ。

エルピーダは日銀に潰された。

更に、20年もの間デフレに苦しむ日本の不況は、ほぼすべてが日銀の金融政策に由来するものであると著者は断言する。

白川総裁は、アダム・スミスから数えても200年あまり、経済学の権威たちが営々と築き上げてきた、いわば「水は高いところから低いところに流れる」といった普遍の法則を無視している。

世界孤高の「日銀流理論」を振りかざし、円高を招き、マネーの動きを阻害し、株安をつくり、失業や倒産を生み出している。

年間3万人を超える自殺者も金融政策とまったく無関係ではない。

そう断言する。

「金融政策だけではデフレも円高も阻めない」これが、日銀や日本のマスコミ、更に多くの日本の経済学者の主張だったが、これこそまさにマインドコントロールである。

日本国民は彼らにマインドコントロールされていたといって良い。

それが証明されたのは昨年の衆議院解散からの経済の動き。

昨年、衆議院が解散されると、自由民主党総裁の安倍晋三氏が2パーセントのインフレ目標を提唱し、デフレ脱却を訴えた。

すると、1ドル79円台だった円はすぐに82円台に、日経平均株価も2週間で最大900円近く値上がりした。

そしてその流れは一部調整局面はあったものの、今も続いている。

この政策、今後も続けてほしいものである。

その意味では今回の衆議院選は重要だ。

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