文明崩壊(下)/ジャレド・ダイアモンド
わたしたちの住む社会は、現在、持続不能に至る道を進んでいて、ここまで概説してきた十二の問題のどれもが、今後数十年のうちにわたしたちのライフスタイルのくびきとなりうる。五十年以下の導火線を付けた時限爆弾のようなものだ。(中略)
「今日の世界がかかえている最も重要な環境問題、人口問題をひとつ挙げるとすれば、それは何か?」という質問がよく聞かれる。簡潔な答えを返すなら、「最も重要な問題をひとつあげるとすれば、それは、問題を順位付けして、ひとつに絞ろうとするわれわれの誤った姿勢だ!」ということになるだろう。この答えは、本質的に正しい。十二の問題のどれかひとつでも未解決のまま残されたら、わたしたちは甚大な被害を受けることになるし、すべての問題は相互に作用し合っているからだ。十一の問題が解決され、最後のひとつが解決されなかったとすると、そのひとつがどの問題であったとしても、わたしたちは依然窮地に立たされている。全部を解決するしかないのだ。
著者は、過去及び現在の社会が直面する特に深刻な環境問題は、12のグループに分けられると主張する。
(1)自然の棲息環境、(2)野生の食料資源、(3)生物の多様性、(4)土壌、(5)エネルギー、(6)水資源の枯渇、(7)光合成の限界、(8)有毒科学物質、(9)外来種の増加、(10)大気の変動、(11)人口の増加、(12)廃棄物の増加、である
12のうち4つ、(5)エネルギー、(7)光合成の限界、(8)有毒化学物質、(10)大気の変動、は近年になって深刻化したものだ。
(1)~(4)は、天然資源の破壊もしくは枯渇の問題
(5)~(7)は、天然資源の限界の問題
(8)~(10)は、わたしたちが生み出した、もしくは発見した有害な物質の問題
(11)と(12)は、人口の問題に関連している。
そして重要なことは、12の問題のどれかひとつでも未解決のまま残されたら、わたしたちは甚大な被害を受けることになるということ。
現実を見つめると、私たちは大変な時代に生きているということになる。
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