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2013年8月15日 (木)

21世紀のキャリア論/高橋俊介

Photo  キャリアラボの代表である花田光世教授の言葉を借りると、最近の若者の中には「理解型」と「納得型」がいる。「理解型」の人は、やり方がわかるとさっさとやる。しかし、「納得型」の人は、なぜそうなのかを深く腹落ちしないとなかなかやらない。だから「理解型」の若者のほうが、一見効率的に早く成長するように見えるが、実際には「納得型」の若者のほうが、最初は若干時間を要しても後でグンと伸び、結果的にはより成長する。多くの大学生や大学院生を指導し、卒業後も面倒を見てきた花田教授が、実感としてこの傾向を感じているという。理解することではなく、納得することが大事なのである。やり方がわかるだけではなく、なぜそうなのか、本質を理解するまで考え続けること、これが普遍性の高い学びをするうえで重要な部分になる。

以前、同じ著者が書いた『キャリアショック』という本を読んだことがある。

その中で著者は、今まで積み上げてきたキャリアが環境の変化によって短期間のうちに崩れ去り、ゼロからキャリアをつくり直さなければいけなくなる時代がやって来る、と述べている。

あれから十数年たって、まさに現在のキャリア環境とは、このキャリアショックの時代であることがはっきりしてきた。

日本人は「この道一筋」という生き方が大好きだ。

一つの職を生涯にわたってやり続け、その道を極めるという姿に美意識を感じる。

だが、今のような時代はそういう伝統的なキャリアのイメージが最も危ない。

変化が非常に小さい時代は、一つの仕事を生涯かけて習熟し続けることが大切だった。

昔ながらの「職人」は、生涯を通じてずっと習熟し続け「極み」に達する。

それに対して、変化の激しい時代、すなわち想定外変化の時代はどうか。

キャリアを構築している途中で想定外変化が起きて、それまでの仕事とは一見無関係な仕事に就かざるをえなくなる。

その結果、それまで積み上げてきた知識やスキルが一見意味のないものに見えてしまう。

まさにキャリアショックが起きる。

キャリアの積み木崩し状態である。

では、このような想定外変化の時代にはどうすればいいのか?

著者は「普遍的能力」を身につける必要がある、と言う。

「理解型」ではなく「納得型」になる必要があるのだと。

普遍性の高い能力を蓄積できているかどうかは、普遍性の高い学びをしているかどうかによる。

例えば、具体的な知識やスキル、資格などの勉強は、キャリアショックによって積み木崩しになる可能性が高い。

だが、その経験の中で培ってきた普遍性の高い学びは、次のフェーズでも必ず生きてくる。

そのような能力こそが、普遍性の高い能力である。

この能力は何によって身につけることができるのか。

たとえば、「なぜ」を繰り返す、どうしてそうなるのかを徹底的に追究する、こうした思考によってできる。

考え抜くことで、本質がわかってくるのである。

あるいは、表面的なノウハウものではなく、歴史や哲学といった実利には直結しない本を読み深く思索する。

これによって物事の本質を納得できるまで追究する。

問題は、このような一見遠回りで無駄と思えるようなことをコツコツと続けられるかどうかだ。

急がば回れということではないだろうか。

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