韓国 反日感情の正体/黒田勝弘
筆者の見立てによると、韓国人の歴史観というのは歴史を「あった歴史」より「あるべき歴史」で考えるということだ。民族あるいは国家として「こうあるべき歴史」を前提に歴史を考え、記録しようとする。
著者は韓国在住30年という、ベテラン韓国ウォッチャーである。
その著者が冷静かつ客観的に、韓国の反日感情について述べており、実に信憑性があり説得力がある。
韓国が日本を非難するときいつも持ち出すのは歴史問題である。
竹島、慰安婦、靖国、この反日3点セットも、歴史問題に行き着く。
ところが問題は、彼らが問題としている歴史が「事実としての歴史」ではなく、「あるべき歴史」だということ。
つまり、韓国にとって都合のよい「こうあるべき歴史」「こうでなければいけない歴史」だということ。
このような「あるべき歴史」を持ち出して、「歴史を忘れた民族に未来はない」などと言われても、不愉快になるのは当たり前のこと。
例えば、今問題となっている慰安婦問題には多くの虚偽が含まれている。
その虚偽もまた「あるべき歴史」観の産物である。
この問題は本来は簡単なことだ。
1965年の日韓国交正常化に際し、日本は韓国側に補償的な意味で5億ドルを提供した。
過去にかかわる「補償」は韓国政府が代表し日本から一括して受け取ったわけだから、個人には韓国政府が対応すれば済む話である。
国と国とが条約に合意し調印したとはこういうことである。
にもかかわらず日本への要求が執拗に続いている。
しかも、この当時の条約は無効との判決まで出てしまう始末。
韓国は著者がいうように必ずしも法治国家ではないのだろう。
「法治」より「情治」
その「情」とは、事情であったり人情であったり感情、情緒であったりする。
かなりの場面で情が優先する「情治社会」。
そして法の番人であるはずの、検察も裁判官も世論に実に敏感である。
だから驚きの判決が出る。
オピニオンリーダーたるべき韓国のメディアも何ごとについても「こうあるべき」が優先するいわば〝べき論〟の世界。
したがってニュースでは必ずといっていいほど「問題になっています」がつく。
これは問題が存在するというより、記者が主観的に問題にしている、あるいは問題にしようとしているという意味。
でも、こうした歴史観は国際的にどれだけ通用する話だろうか?
韓国では日本に対ししきりに「歴史歪曲」といい「歴史認識の一致」を要求する。
時にはそれを外交問題にして日本を非難、糾弾する。
しかし歴史に対する考え方が違っていたのでは一致するもなにもない。
いや一致などできない。
無理難題というものだ。
韓国人の独特で特異な歴史観、
韓国の反日の根本にはこれがあると断言してもよさそうだ。
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