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2013年8月12日 (月)

バンダルの塔/高杉良

Photo  サイトではNF部門と称しているが、東京からの指示は、NF部門の工事を急ぎ、可及的速かにLPGを産出して、プロジェクトの資金的負担をできるだけ軽減したい、といった思惑が読みとれる。
 しかし、ヘッド・オフィスもサイトも、工事の継続など物理的にも不可能なことがはっきりしていただけに、相談役会の結論に憤慨した。
「冗談じゃない。コントラクターは全員帰りじたくをしてるよ。なにが工事の継続だ」と、最も頭に血をのぼらせたのは明野である。資材は予定どおり搬入されてこない。在庫の資材はアリババ(どろぼう)にあったり損傷が著しくて使いものにならない。コントラクターの作業員はイラン人労働者の投石、集団暴行で作業場につけない。こんな状態の中で、どうやって工事を継続すればいいのか、といきりたつ社員も少なくなかった。

70年代、日本の石油資源確保のためにイランと共同の民間プロジェクトが立ち上がる。

日本から多くの技術者やリーダーが派遣され、現地の労働者とともに中東の巨大プラント建設事業が始まる。

オイルショックによる建設費の高騰、想像を絶する炎暑、民族性の違い、オイルショックによる経済の混乱、様々な苦難との闘い。

しかし、それだけの情熱を傾けたプロジェクトもイスラム革命によって断念を余儀なくされる。

在庫の資材の盗難、損傷、イラン人労働者の投石、集団暴行・・・。

どう考えても継続は不可能。

ところが、本社からは工事継続の指示。

現場を知らない経営トップからの一方的な指示、混乱する現場。

でも、これに似た話、状況は違えども、どこの企業でもよくあるのではないだろうか。

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