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2013年9月 8日 (日)

なぜ日本は〈嫌われ国家〉なのか/保阪正康

Photo  一九四一年十二月八日の真珠湾奇襲攻撃の時、日本は通達なしにこれを行った。在米日本大使館が、本国から届いた宣戦布告の通知の翻訳に手間取り、アメリカ側に外交打ち切り文書を手渡したときにはすでに真珠湾攻撃が行われていたのだ。
 アメリカは最後の最後まで平和を望んだのにもかかわらず、日本は通告なしに真珠湾を攻撃したとのアリバイ工作であったが、これがルーズベルトやハルの考えていた以上に、アメリカ人の怒りに火をつけたわけである。
 当時、海軍の駐在武官としてワシントンにいた実松譲の証言によると、アメリカ時間の十二月七日の夜、日本がアメリカを奇襲攻撃したという臨時ニュースが流れた。するとワシントンの日本大使館に何万人もの群衆が殺到し、
「日本人は汚い!!」
 と怒声を浴びせたり、石を投げつけたりした。この時に「汚い日本人=ダーティ・ジャップ」というイメージが、アメリカの庶民の隅々まで行き渡ったのである。

日本人は他国からどのように見られているのか?

おそらく中国人と韓国人からは嫌われているのだろう。

でも、それ以外の国からはどう見られているのか?

そのことを考える上で、一番大きな影響を及ぼしているのは、太平洋戦争の記憶である。

21世紀に入った今日でも、それぞれの国の中に、太平洋戦争が様々な形で影を落としている。

それが、今日の日本人観にも大きな影響を与えている。

今では同盟国となっているアメリカであっても、その国民の記憶の奥底にはあの真珠湾攻撃のとき植えつけられた「ダーティ・ジャップ」のイメージが影を落としている。

彼らにとって太平洋戦争の敵国である日本は、野蛮で残酷な民族で構成されている国というイメージが占めていることが多い。

私たちは、太平洋戦争当時と今とでは日本人は大きく変わったということは実感している。

しかし、日本人と会ったことのない高齢者の間にあるイメージは、太平洋戦争当時から固定化してしまっていると考えられる。

今でも戦争の記憶は影を落としているのである。

私たちは、日本人が体験した太平洋戦争をもっと複眼的に、巨視的に考える必要がある。

太平洋戦争を通じて作られた日本のイメージの歪みをゆっくりと時間をかけ払拭していく努力をしていかなければならないと言えよう。

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