オレたちバブル入行組/池井戸潤
「オレは基本的に性善説だ。相手が善意であり、好意を見せるのであれば、誠心誠意それにこたえる。だが、やられたらやり返す。泣き寝入りはしない。十倍返しだ。そして──潰す。二度とはい上がれないように。浅野にそれを思い知らせてやるだけのことさ」
ご存じ、テレビドラマ、半沢直樹の原作本。
TBSとしては久々のヒット作。
「やられたらやり返す」「十倍返し」という威勢のいい言葉が主人公の口から発せられる。
本書を読んでみて、「なぜ、こんなに人気が出たのか?」と考えさせられた。
一つ、言えることは、この小説の主人公、半沢直樹は銀行員らしくない銀行員であるということ。
そして、おそらくどこにもこんな銀行員はいないであろう。
ストーリーは勧善懲悪の世界。
非常に分かりやすい。
主人公はあくまで正しく、敵対する人物はいやらしく描かれている。
どこにもいないキャラだから、「いたらいいな」という願望も加わり痛快さが加わる。
閉塞感漂う現代だからこそ、このようなキャラが受けるのではないだろうか。
逆に、どこにもいないキャラだからこそ無い物ねだりで人気が出ているとも言えよう。
« 黒革の手帖(下)/松本清張 | トップページ | 黒の回廊/松本清張 »
コメント