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2013年9月17日 (火)

黒革の手帖(下)/松本清張

Photo スリッパをひきずって入る足音が新しく入ってきた。真上の照明燈がいちどきに光を増し、太陽のようになった。
「先生。出血量は一二〇〇CCくらいだそうです」
 婦長が医者に報告した。
「ああそう」
「血圧は高い方が六十三です。低い方はわかりません。脈搏は百二十。かなり微弱です」
「ああそう」
「輸血の用意をさせています」
 医者の顔が元子の真上に来た。白のキャップ、白の手術衣だが、まだマスクはしてなかった。
 元子は眼を凝らした。医者もじっとこっちを見つめている。
 楢林院長だった。含み笑いをしている。
 横から婦長の顔が加わった。中岡市子の長い顔だと知った。
 元子は叫び出した。
「助けて! わたしはこの二人に殺される!」
 悲鳴が密室の手術室いっぱいに響いた。

この小説の最後は、主人公元子がお金をだまし取った者たちの罠にはまってすべてを失い、流産し、

運び込まれた病院で治療にあたる医師と看護師は、実は過去お金をだまし取った相手だった、というもの。

悪の限りを尽くした女の最後はハッピーエンドという訳にはいかないということだろうか。

何となく納得させられるエンディングである。

でも、実際はどうなのだろう?

悪の限りを尽くしてそのまま生涯を終える悪いヤツは世の中にゴロゴロしているような気がする。

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