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2013年10月22日 (火)

勇者は語らず/城山三郎

Photo 「まちがったのは、アメリカじゃありませんか。省エネ時代だというのに、小型車にまともに取り組もうとしなかった。下請けもふくめて、どれだけ技術や設備の改善をやり、品質管理をやったというのですか。その上、空前の高金利政策。庶民はローンに手が出なくなる。アメリカは、自分で自分の首を絞めたのです。なぜ、それを日本側はいわないのですか」
 別に冬木を責めているわけでもなかったのに、冬木は苦笑すると、ぽつりといった。
「勇者は語らず、さ」

本書は本田技研をモデルにした経済小説。

戦後の自動車産業の戦いの内部を描いている。

登場人物は川奈自工の人事部長冬木と、その下請会社の社長山岡、そして川奈社長。

川奈社長のモデルは本田宗一郎だが、冬木と山岡のモデルははっきりしない。

アメリカに進出した自動車メーカーは最初はポンコツ車扱いだったが、JUST IN TIME、合理化等、様々な改善を積み重ね、やがてアメリカ車を凌駕するようになる。

ところが、その強大な力ゆえに日本車バッシングが高まる。

沈黙を守るメーカー。

その下でより大きな沈黙を強いられる下請け。

移り行く時代の流れに、登場人物とその家族は翻弄されるが、逞しく自分の信念を黙って貫こうとする。

これこそ、まさに「勇者は語らず」だ、と著者は言いたいのだろう。

その構図の中に戦後を生きぬいた日本人の縮図が垣間見える。

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