日本人が知らない世界と日本の見方/中西輝政
これはジママーンに限らず、当時のアメリカ・イギリスを中心とした西欧諸国の国際政治学、国際関係論と称する学問の特徴です。ノーマン・エンジェルという有名な平和運動家の言葉を引いて「戦争の原因は、それぞれの人間の心の中にある。人間の心を変えれば、戦争は起こらなくなる」といったりしていまた。
きわめて幼い精神主義に依拠する議論ですが、国際政治学というのは、実はこんなところから出発したわけです。しかし振り返って日本を見ると、こうした議論をいまの日本では、いまだに相変わらずやっているわけです。戦争は心の中で起こるのだから、そういう悪い心が起こらないように一人ひとりの人間を平和主義的に教育する。それが平和を得る一番大切な方法である。そんな議論です。
「戦争の原因は、それぞれの人間の心の中にある。人間の心を変えれば、戦争は起こらなくなる」という議論。
日本では今もこの種の言葉は度々出てくる。
軍隊を持たなければ、戦争は起こらないというのもその類だ。
ところが、この議論は1920年代の国際政治学の草創期に行われたものだという。
しかし、その考えは、二度の世界大戦を経て成熟し変遷していく。
当然であろう。
戦争は国と国との複雑な関係が絡まって起こる。
好戦的な人が起こすというより、平和主義を掲げていてもやむにやまれず戦争に突入することもある。
誰も戦争を起こしたくはない。
だったら、日本人は歴史をもっとキチンと学ぶ必要があるのではないだろうか。
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