経営パワーの危機/三枝匡
それはね、皆が取り組んでいることに、ストーリー性があるんだ。本人たちは改善のシナリオなんて呼んでいたけど。
一人の話が、前の人の話と必ずどこかで繋がっているんだな。
だから聞いていくと、カチカチ山じゃないが何か紙芝居を見ているみたいに会社全体が一つの物語で包まれているようなイメージを受けたんだ。
倒産寸前の会社に派遣された主人公が、再生のために戦う様を物語形式で書かれているのが本書である。
ここでは経営にストーリー性をもたせることの重要性が記されている。
全社的に、短期、長期の話が一つのストーリーで繋がっていて、一人のしていることが全体の絵のどの部分に当たるかが全員に見えているときに、社内のエネルギーは束になる。
会社のあちこちで行われている活動が、トップからミドルまでの全員の頭の中できちんと繋がっており、それが会社全体の長期、短期の展望の中で捉えられている。
それがさらにその下の若い社員の意識をも束ね、結果的に会社全体のベクトルが合ってくる。
こうした状態を作り出すことができれば、会社という人間集団はものすごい力を発揮しはじめる。
逆にいえば、うまくいっていない会社とは、意識の束ねができておらず、社員がそれぞれバラバラになってしまっており、ここに大きな問題があるということである。
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