歴史から考える 日本の危機管理は、ここが甘い/上念司
現在、日本を覆っているのはデフレです。デフレは、日本経済最大の足かせになっています。デフレというのは貨幣現象であり、基本的にモノに対するお金の量が不足することで発生します。であるならば、お金の供給を増やせばデフレは解決します。
デフレが貨幣現象で、日本銀行がお金の供給を行えばデフレから脱却できるというのは経済学の常識です。事実、2008年のリーマンショックの発生によって世界各国でデフレ発生のリスクが顕在化した時、各国の中央銀行は大量の資産買い入れによる金融緩和を行うことでデフレを回避しました。一方、日本はこの時、金融緩和政策をまったく行いませんでした。この結果、先進国の中で日本だけがデフレに苦しむ状況に陥ったのです。
バブル崩壊以来、日本は失われた20年に突入した。
国民の貯蓄ばかりが増え続け、物が売れなくなった。
問題はデフレである。
デフレを脱するには、マネーの供給量を増やすことである。
単純に考えればそうなる。
でも、政府は、そして日銀はそれをやらなかった。
またリーマンショック以降、日本は円高に苦しんだ。
その原因も単純である。
海外の中央銀行がリーマンショック以降、デフレになったら大変だと大量の通貨を発行したのに対して、日銀は何もしなかったからである。
このとき、他の主要国のバランスシートは2倍や3倍の勢いで拡大した。
為替市場から見れば、円が不足して希少価値が増した。
これこそが、円高の原因である。
現在日本はデフレを脱しつつある。
アベノミクスの効果が徐々に現れてきている。
まだまだ予断を許さない状態ではあるが、それよりも疑問に思うのは、どうしてこのような政策がもっと前にできなかったのかということである。
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