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2013年10月23日 (水)

経営心得帖/松下幸之助

Photo  私は五十五年にわたって、社長なり会長として経営に携わってきました。けれども、私自身はどちらかというと、若いころからあまり体が丈夫ではなく、病気することもしばしばあったりしたため、いきおい、第一線に立って陣頭指揮をとるというより、後方にあって見守るという姿にならざるを得なかったのです。
 それで、たくさんある工場なり営業所へ直接自分が行くこともなかなかできないので、どうしても電話で仕事をすることが多くなります。工場なら工場の責任者に電話をして、最近の状況をきく、あるいは何か問題がないかを尋ねる。問題点があれば、それについてはこう考えたらどうかといったことを話す、というようにしたわけです。もちろん、製品を検討するといった場合は電話ではできませんから、責任者の人に足を運んでもらうこともありましたが、まあおおむね電話だけですませていました。
 そういう姿は、見方によってはまことに頼りないようですが、結果的には、それで終始してきて、成果があがったように思われます。

他界してもう20年以上にもなるのだが、いまだにその関連図書が出されている松下幸之助。

おそらくその言動が経営の本質をついているからなのであろう。

ここで松下氏は自分が体が弱く病気がちであったことが経営にとってはかえって良かったといったことを述べている。

世間には、非常に頑健で、エネルギッシュで、それこそ現場のすみずみまで自分で回って陣頭指揮をとる経営者が少なくない。

それで大いに業績をあげているところもあるのだが、逆の場合もあるようだ。

現場で働いている社員にとって、経営者が現場を見てくれるというのはうれしい反面、そこで小姑のようにアレコレ言われると、やる気は失せてしまうという面もある。

また、いつまでも自分は任されていないのだという感覚になり、自立できなくなってしまう。

その点、松下氏は自分が病気がちだったために、現場に任せる以外なかった。

それが経営をよい方向に向かわせたというのである。

もちろん、社長が自分の目で直接現場を見ることによって、より大きな成果を得られる場合もあるだろうし、「社長が来てくれた」ということで社員の士気もあがるかもしれないので、どちらがいいとは一概にはいえないが、

「社長はこうでなければならない」と決めつけるのではなく、それぞれにあったスタイルがあり、それを確立することが大事だということではないだろうか。

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