« 創造はシステムである/中尾政之 | トップページ | 世界最高MBAの授業/佐藤智恵 »

2013年11月20日 (水)

ミッション/岩田松雄

Photo  パチッ。パチパチッ。
 すっと伸びていくロボットのアームの先端。ピタッと動きが止まると、一瞬の間をおいて、突然、黄色い火花が散ります。
 人気のない工場のラインに光る、花火のような輝き。それは美しくもあり、また不思議な厳粛さをたたえていました。
「いいか、岩田」
 ぼんやりとその様子を眺めていた私に、ヘルメットをかぶった上司がこう言いました。
「この工場で価値を生み出しているのは、あの火花が散っている瞬間だけなんだぞ──」
 もう30年も前のことになります。大学を卒業して日産自動車に入社した私が、研修や工場での実習を終えて本社の購買管理部技術課に配属され、車体溶接工場を見学していたときのことです。

スターバックスコーヒーの元CEOである著者は、自らの仕事の原体験について日産自動車入社2年目の出来事を述べている。

まだ塗装されておらず、むき出しの、鈍いグレーの部品が、産業用ロボットに抱えられて次々に組み合わされる。

そこに溶接用のアームが伸びてきて、正確に火花を散らせ、つなぎ合わせて自動車のボディを形作っていく。

しかし価値を生み出しているのは、火花が散っている瞬間だけ。

火花が散る瞬間、つまりボディが形作られていくまでには、さまざまな工程がある。

ボディを運搬したり、向きを変えたり、部品を在庫したり。

しかし価値を生み出しているのは、あのまぶしい瞬間だけ。

この工程で価値を生んでいるのは、鉄板同士が溶接されてくっつくということだけ。

あとは何も関係ない。

部品の運搬をどう効率的にやろうが、在庫を抱えている時間が何日あろうが、会議で何を話し合おうが、それは本質的に価値を生み出していない。

あの火花が散っている瞬間だけが、価値を生み出している。

そういう目で現場を見る必要があるということを著者はそのとき学んだという。

この原体験は、後にスターバックスコーヒーのCEOを務めたときにも生かされた。

スターバックスコーヒーで火花が散る瞬間は何か?

スターバックスの店舗に足を運んでくださるお客様は、「すてきな空間で、おいしいコーヒーを飲みたい」という明確な意志を持っている。

そのお客様にオーダーをお受けしてお金を受け取り、でき上がった最高のコーヒーを、自信を持って笑顔でお渡しする瞬間。

この瞬間、火花が散っている。

その信念のもと、著者はスターバックスコーヒーのCEOを務め上げたという。

どんな仕事にもパチパチッと火花が散る瞬間がある。

それはどんな瞬間なのか?

考えてみる必要があるのではないだろうか。

« 創造はシステムである/中尾政之 | トップページ | 世界最高MBAの授業/佐藤智恵 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ミッション/岩田松雄:

« 創造はシステムである/中尾政之 | トップページ | 世界最高MBAの授業/佐藤智恵 »