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2013年11月19日 (火)

創造はシステムである/中尾政之

Photo  具体的に言えば、日本の製造業の生きる道は、個々の顧客の要望に全て応えた〝高級レストラン〟であろう。要求機能の数が膨大で、見かけは干渉だらけのインテグレイテッドな創造に見えるが、実はコンピュータ化して干渉を軽減させたモジュラーな加工手段を用いている。そして軍隊のようなモジュラー組織の大企業に見えながら、運営主体の個々のチームは仲間の顔が覚えられるほどのインテグレイテッド組織である。それぞれのチームは情報武装していて組織内の知識を自由に扱え、組織の壁が低くなったインテグレイテッド組織に化している。

組織はそれぞれの基本構成が独立したモジュラー組織と基本構成を互いに融合させ統合させたようなインテグレイテッドな組織に分類することができる。

一般にアメリカはモジュラー組織、日本はインテグレイテッドな組織だといわれる。

アメリカ人は仕事をするとき、個室を好み、命令系統はボス直轄、設計は独立設計という形態である。

一方、日本人は大部屋、チームで仕事をすることを好み、設計するときはお互いに干渉しあう干渉設計である。

ただ、日本も大企業になると基本構成が独立したモジュラーな組織が多くなってくる。

これはどちらが優れているというより、どちらも一長一短あるということである。

製品を組み立てる場合は、個々の責任を明確にするモジュラー組織にしておけば失敗は少なくなる。

でも誰でも組み上げるとできてしまうので、似たような商品になりやすい。

一方で、日本人は干渉が大好きである。

それにより優れた商品を生み出してきた。

たとえば、日本の自動車のバンパーは、トラックに付いているような、黒々とした肉厚のゴムではない。色がシャーシと同じだから、どこがバンパーなのか一目でわからない。

日本では、バンパーで隣の自動車をどかすこともないから、バンパーの主機能は退化してしまった。

副機能として、そこにフォグランプや方向指示灯を一体化して付けている。

だから、間違えてぶつけると大変である。

全部、取り替えないと、夜間に走れない。

でもこの「摺り合わせ」の干渉設計こそ日本の強みだと喧伝されている。

では、このアメリカ的でモジュラーな独立設計と、日本的でインテグレイテッドな干渉設計を比べてみるとどうなるか。

どちらの組織で創造が生まれやすくて、どちらの製品が失敗せず、どちらの仕事が面白く、どちらのデザインが美しくなるのだろうか。

おそらくインテグレイテッドの組織のほうが創造しやすい。

しかし、モジュラーの製品のほうが大規模になっても失敗は少なくメンテナンスしやすい。

一方で、インテグレイテッドの仕事のほうがオペレーターにとって技を盗めて面白い。

さらに、インテグレイテッドのデザインのほうが美しい。

結論として、モジュラーとインテグレイテッドを混ぜたハイブリッドな組織や設計が好ましいということになる。

組織論として非常に面白い考え方である。

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