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2013年12月31日 (火)

ニッポン貧困最前線/久田恵

Photo  ナレーションは、あいかわらず百合子の死を、生活保護基準から九万円も低い収入で一方的に保護を打ち切られ、借金に苦しみ病気になり、助けを求めた福祉事務所の窓口でケースワーカーから冷酷に扱われて、絶望して餓死したと、運動団体のデータや主張をそのまま伝えていた。
 むろん、中野照子も登場した。いつもの科白を繰り返していた。
「見るに見かねて行っているうちに、みるみる痩せていったんです。役所が殺したと断言していいです」
 抗議集会で男が言った。
「(保護の申請に行った者を)虫ケラのように追い返すんだ」
 さらに、事件後テレビ局にかかってきた三百本以上の電話のほとんどが、福祉事務所の窓口に対する怒りの声だったというナレーションに続き、体験者の声が流れた。
「ドロボウしてでも食べていけ、と言われた。そんなことをするくらいなら死んだ方がましだ、と言ったら、そうしなさい、と言われた」

1987年1月、札幌市白石区の市営住宅の一室で、女性が衰弱死しているのが発見された。

女性には3人の子供がいた。

札幌・女性餓死事件である。

この時から、福祉事務所への凄まじいばかりのバッシングが起こる。

新聞・テレビ・週刊誌は「福祉事務所が彼女を殺した」と繰り返し報道する。

そして、事件から九カ月後、日本テレビ系列札幌テレビ制作のドキュメント番組が全国放映された。

ドキュメンタリーと言いながら、内容は福祉事務所を犯人と決め付ける客観報道とは程遠いもの。

いつも繰り返されるパターンである。

マスコミの存在価値は真相究明にある。

ところが、今のマスコミは単に大衆を煽っているに過ぎない。

例えば、この「札幌・女性餓死事件」にしても真相は全く別のところにあった。

ところが、そんなこと、マスコミは全く報道しない。

でも、今のマスコミのレベルが国民のレベルといってもよいのだろう。

どっちもどっちといっても良いのかもしれない。

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