« ハイエク 知識社会の自由主義/池田信夫 | トップページ | あなたが知らない太平洋戦争の裏話/新名丈夫 »

2013年12月23日 (月)

教科書には載っていない!戦前の日本/武田知弘

Photo 小林多喜二は、昭和8年(1933年)2月20日に、東京赤坂で逮捕されると、その日のうちに亡くなっている。報道発表の死因は、〝心臓麻痺〟だった。
 しかし、実際の死因がそんなものでないことは、少しでも教養のある者なら皆分かっていた。遺体の検案に立ち会った作家の江口渙は、その時の様子を次のように残している。
「何という凄惨な有様であろうか。毛糸の腹巻の半分ほどに隠された下腹部から、左右の膝頭にかけて、下っ腹といわず、尻といわず、前も後もどこもかしこも、まるで墨とべにがらをいっしょにまぜて塗りつぶしたような、何ともいえないほどの陰惨な色で一面におおわれている。その上、よほど内出血があったと見えて、腿の皮膚がぱっちりハリ割れそうにふくれ上がっている」


戦前の日本には、現代社会に通じる部分が数々あった。

しかし、なかには現代ではまったく理解不能な、絶対に受け入れることができないような野蛮な面も持ち合わせていた。

特に戦前の特高警察と治安維持法による検閲制度は絶対に受け入れがたいものであろう。

当時、ありとあらゆる表現は当局の監視下にあった。

新聞や雑誌、書籍はもちろん、演劇や映画といった類まで、当局の監視の目は及んだ。

その象徴的な出来事がプロレタリア文学の旗手、小林多喜二の拷問死である。

小林多喜二は「蟹工船」の作家として近年急に注目されるようになったが、財閥や大企業による搾取を目の当たりにし、次第に共産主義にのめりこむようになった作家である。

そして1933年、特高警察に拿捕され、激しい拷問の末、息を引き取った。

このような戦前の暗黒の歴史を知ると、「あんな時代は真っ平だ」と思ってしまう。

しかし、あの時代の検閲と先日の特定秘密保護法を結びつけるのはあまりにも無理がある。

そして、そのような似て非なる二つの法律を強引に結び付け、世論操作をしようとするマスコミの姿勢そのものに、むしろ危機感を覚えてしまう。

« ハイエク 知識社会の自由主義/池田信夫 | トップページ | あなたが知らない太平洋戦争の裏話/新名丈夫 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 教科書には載っていない!戦前の日本/武田知弘:

« ハイエク 知識社会の自由主義/池田信夫 | トップページ | あなたが知らない太平洋戦争の裏話/新名丈夫 »