本当にヤバイ!中国経済/三橋貴明
新卒者や出稼ぎ労働者など、毎年2千万人を超える国民が新たに労働市場に参入してくる中国では、経済成長率の低下は絶対に避けねばならない。
特に中国の農村部には、実に1億3000万人を超える余剰労働力が存在すると言われている。これだけの労働者を吸収していくには、「健全な経済成長」では全く足りないのだ。どれだけ不健全で、環境を破壊し、未来をぶち壊したとしても、2桁に近い成長率が必要なのである。さもなければ、中国共産党の唯一の目的と言える「権力の維持」が不可能になってしまう。
中国共産党が権力を維持するためにはどうしても2桁近い成長率が必要になる、と著者は言う。
そうすると、ここ数年7%台に落ちているGDPの意味するのは、危険水域に陥っているということ。
さらに、中国のGDPそのものが信用できない。
これは有名な話だが、中国の各省、各地方政府から報告されるGDPを素直に積み上げると、GDPがとんでもない数値になってしまう。
中央政府が発表する統計数字を大きく上回り、明確な食い違いを見せる。
最近発表された数字もそうなっていた。
例えば、日本の場合、各地方自治体から報告されるGDPを積み上げたものが国のGDPになる。
他の国も同じである。
ところが中国だけがそうではない。
それは各地方政府には目標の数字があり、それを達成しないとその長は更迭されてしまうから。
数字を捏造してでも目標数値を達成したように報告する。
結果、各地方政府を積み上げた数字はとんでもない数字になる。
いくらなんでもそれでは誰が見てもおかしいと思うので、中央政府はその数字を調整する。
その結果が中国のGDPである。
そう考えると、本書のタイトルのように、中国経済は〝本当にヤバイ!〟ということになる。
著者の主張する通りである。