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2014年1月27日 (月)

黒い福音/松本清張

Photo  トルベック神父を見張ることを考えたのは、藤沢刑事のカンだった。ほかの者に話しても、まさか、と云って相手にしてくれない。事実、その通りだった。神への奉仕を、ただ一途に踏んで来た聖職者だった。外出するにも、その聖職服を脱ぐことを許されない、という厳しい戒律のなかに生活している神父が、派手な背広を着て、女を連れ、温泉マークにシケ込むとは思われない。だが、藤沢刑事は、心に残るものがあった。そして、これを捜査一課長にまで、意見を具申したことである。課長は同意した。

先日テレビドラマ化されたものを見て興味がわき、読んでみた。

題材は1959年、英国海外航空の日本人スチュワーデスが扼殺され、遺体となって東京都杉並区で発見された事件。

犯人が特定されないまま公訴時効が成立、未解決事件となっている。

清張は社会派推理作家と呼ばれている。

単なる推理作家でなく、社会派とよばれる所以は、昭和の闇の部分を題材にした作品をいくつも書いているから。

本書もその中の一つなのだが、どこまでが本当のことで、どこまでが作家の推理の部分なのかが解らなくなるほどリアリティーがあり、どんどん引き込まれてしまう。

そしてその推理にも非常に説得力がある。

容疑者はベルギー人のトルベック神父。

何回か事情聴取をしたが進展がなく結局帰国を許してしまう。

さて、そのベルギー人神父をマークしたのはベテラン刑事のカンである。

現在では科学的捜査が随分導入されてきている。

たしかにそれによって効率化された部分もあるかもしれない。

しかし、最終的には刑事のカンという極めて人間的な部分が決めてになってくるような気がする。

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