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2014年1月26日 (日)

熊とワルツを/トム・デマルコ

Photo リスクのないプロジェクトには手を付けるな。

 リスクと利益は切っても切れない関係にある。プロジェクトがリスクだらけだということは、海図のない水域に乗り出すということだ。自分の能力を伸ばす機会であり、見事にやってのければ、ライバルは地団駄を踏むだろう。ライバルが手も足も出ないほど能力を伸ばすことができれば大成功だ。競争で優位に立てるし、市場にふたつとないブランドを築ける。

「リスクのないプロジェクトには手を付けるな」

著者はこう断言する。

リスクが大きければ、そのぶんチャンスも大きい。

まったくリスクのないことに手を出すのは意味がない。

必ずといってよいほど何も得るものがない。

そうでなければとっくに誰かが片づけているはず。

そんなことをするより、時間と労力を節約してもっと価値のあることに使った方がよい。

だから、リスクという熊とのダンスをもっと楽しもう、というのがタイトルに込められたメッセージである。

リスクと問題とは違う。

「リスク」とはまだ起きていない問題であり、「問題」とはすでに実現したリスクである。

また、リスト管理と危機管理も違う。

「リスク管理」は、問題が発生する前の、抽象的な概念の段階で対策を考えるプロセスである。

一方、リスク管理の反対を「危機管理」といい、問題が発生した後に何をするべきかを考えることを意味する。

起こりうるリスクをはっきりと認識し、それらに備えておくことが、成熟のしるしである。

と、このようなものだが、どうも日本人はこのリスク管理が苦手である。

その根本には言霊の思想があるような気がする。

言霊とは、口に出した言葉に霊が乗り移って、それが実現してしまうという思想。

リスクとは言葉を換えて言えば、「こんなことが起こるかもしれない」と仮説を立てること。

ところが、これをすると日本では「縁起でもない」ということになる。

「このプロジェクトは計画通りに進まないかもしれない」と誰かが言うと、

いざ、本当にそのようになってしまった時、「お前があの時あんなことを言ったからこんなことになったんだ」ということになる。

だから誰もそのような「縁起の悪い言葉」は口に出そうとしない。

リスクを口に出すことを許さない文化の中では、リスク管理はできない。

日本人にとってはこれが一番の問題ではないだろうか。

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