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2014年2月14日 (金)

里山資本主義/藻谷 浩介;NHK広島取材班

Photo「すごくおいしい水もあって、森もあって、全部あるじゃないですか、いいじゃないですかって言うんですが、地元の人は、なんかやっぱりスーパーとか色んなものが買える場所があった方が若い人はいいんじゃないか、という考えをもっているらしいんです。そうではなくて、地元の人が持っている色んな知恵とか、自立して生きていける力とか、そういうことを今すごく必要としていて、それを学びたくてきているんですね」
 安達さんの言うことが常識になれば、地方は激変する。都会に住む人を巻き込んで、日本全体が大きく変わると、私たちは確信している。

里山資本主義は、「地域」が復権しようとする試みである。

大都市につながれ、吸い取られる対象としての「地域」と決別し、地域内で完結できるものは完結させようという運動が、里山資本主義である。

お金が機能しなくなっても水と食料と燃料を手にし続けるための、究極のバックアップシステムである。

グローバルな経済システムに組み込まれる中で、「仕方がない」とあきらめていた支出を疑い、減らしていけば、「豊かさ」を取り戻すことができるという発想。

そしてそれによって経済が「我々のもの」になっていくというもの。

それは単にグローバルに流通する資源からの脱却を目指すというだけでなく、「鉄やコンクリートといった硬くて強いもの」を好む20世紀型の「マッチョな経済」の形にまで疑問を投げかける、価値観の転換さえ含んでいる。

本書を読んでみて、「多様な生き方」という意味では面白いと感じた。

ただし、「資本主義」というところまで行くと、少し疑問を感じてしまう。

著者は「里山資本主義」を「マネー資本主義」の対立軸として捉えているが、これからの日本に必要なのは、この両方ではないだろうか。

グローバル化する世界経済の中で、あくまでその中で勝ち抜くことを目指し、世界と戦おうという道。

おそらくこれから逃れることはできないだろう。

一方、鳥がさえずる地方の穏やかな環境で、お年寄りや子どもにやさしいもうひとつの文明の形をつくりあげて、都会を下支えするような生き方を模索していこうという道もある、と。

このような試みであれば、あってもよいような気がする。

ただしこれはあくまで「資本主義」という大げさなものではなく、サブシステムという位置づけではないだろうか。

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