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2014年2月 8日 (土)

コンピュータが仕事を奪う/新井紀子

Photo 絵画の真贋判定や脱税の摘発は、これまで専門家の仕事でした。特に、「どのように判定しているか」が言語化できないために、一層、それができる人の希少性が増し、労働の価値が高かった分野です。
 ところが、機械学習という技術が登場することにより、今まで、専門家が経験と勘によって「帰納的に」判断してきた「分類」という仕事の領域に、コンピュータが参入してきたのです。しかも、専門家が下した判断をコンピュータが覆すような事例も出てきたのです。

コンピュータが人間の仕事をどんどん奪っていく時代がやってきた。

たとえば、駅の改札にはもう切符を切る駅員の姿はない。

自動改札になったから。

かつてはタイプライターという筆記用具が存在し、女性の職業のかなりの部分をタイピストが占めていた。

けれども、タイプライターは既に博物館の展示物。

銀行の窓口の数も減った。

ATMがあり、各銀行のネットワークがつながっているから。

自宅の書棚を百科事典で埋めようとする人はもういない。

そこに検索エンジンがあり、ウィキペディアがあるから。

紙の新聞の発行部数は低下しつづけている。

ネットでニュースを読むことができるから。

中でもホワイトカラーは今後ますますコンピュータに仕事を奪われていくだろう。

20世紀後半に起こった情報科学という技術革新は、知的労働を代替するタイプの技術革新である。

その当然の結果として、その職を追われる人たちが出現する。

そしてそれは、コンピュータによって代替可能な職種についている人々、いわゆるホワイトカラーだということになる。

このことは、キャリア開発においても重要な視点になる。

私たちが「コンピュータが得意なスキル」を身につけても、勝負になるはずがない。

コンピュータが得意であるようなことを、いまさら勉強しても、それを職業として活かせる可能性は低い。

コンピュータはどのような仕組みで動き、何が得意で、何が不得意なのか。

一方、人間はどのように考え、何が得意で、何が不得意なのか。

それを理解した上で、コンピュータが不得意だけれども、人間ならば身につけることができるスキルを向上させることが、21世紀を生き抜くには不可欠になる。

コンピュータは知識を蓄積したり、手順どおりの作業をしたり、大量データから傾向をつかみとることが得意。

つまり、暗記と計算とパターン認識を最も得意とする。

だから、この分野でコンピュータと競争しても勝てるはずがない。

一方で、脳の働きのうち、論理と言語を駆使して高度に思考し表現する仕事は苦手。

また、人間の多くにとって容易な、見る・聞く・感じるなどの五感を使った情報処理も比較的苦手である。

人間は今後、コンピュータが苦手で、しかもその能力によって労働の価値に差異が生まれるようなタイプの能力で戦わざるを得ないということであろう。

人間の優位性を、私たちひとりひとりがいかに強化していくか。

それが、労働市場をコンピュータと争うことになる21世紀を生きる私たちにとって重要な課題になることは間違いない。

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コメント

細かい突っ込みですが機械はパターン認識は苦手です。
大量のデータを処理する事で顔認識などの精度は上がっていますが
それでも人間に比べると劣ります。

個人的には美容師とか看護士とか肉体労働的な作業やコミュニュケーションが重要な仕事は
残ると思います。
逆にデスクワークは大幅に減るでしょうね。
自動化出来なくてもおそらく海外へのアウトソーシングも進むでしょうし
ホワイトカラーは今世紀中に激減するでしょう。

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