« 原田泳幸の仕事の流儀/原田泳幸 | トップページ | それでもドキュメンタリーは嘘をつく/森達也 »

2014年3月26日 (水)

稲盛和夫 最後の闘い/大西康之

Photo 稲盛の話が始まると、その多くが唖然とした。
「利他の心を大切に」
「ウソを言うな」
「人をだますな」
 稲盛が説いたのは、まるで小学校の道徳の教科書に出てくるような話ばかりだった。
「このくそ忙しいときに、なんでこんな話を聞かなければならないのか」
 いまの窮地を脱するための秘策を求めて集まった役員たちの期待は、不満に変わった。

誰もが不可能と思ったJALの再生を見事成し遂げた稲盛氏。

その秘訣はどこにあったのか?

本書を読んでみると、稲盛氏のやったことは特別なことではなかったということがわかる。

一言で言えば「当たり前のことを当たり前にやる」ということ。

特に、稲盛氏がJALに乗り込んだ最初の200日は、

「会社とはこういうものだ」というJAL役員の既成概念と、「会社はかくあるべし」という稲盛氏の哲学がぶつかり合った期間だった。

JALの役員は、言わば超エリートである。

その彼らに対して、小学生でもわかるような当たり前のことを話す稲盛氏。

その光景が目に浮かぶ。

おそらく彼らにとって稲盛流の意識改革は苦痛であったろう。

心の底では馬鹿にしていたかもしれない。

しかし、それを心底その通りだと思えるようになったとき、JALの再生がスタートしたといっても良い。

稲盛氏は当たり前のことを当たり前にやったに過ぎない。

きちんと利益が出ている会社なら中小企業でもやっているようなことである。

それを稲盛氏はすさまじい精度と深度、驚くべきスピードでやってのけた。

「ウソをつくな、正直であれ、欲張るな、人に迷惑をかけるな、人には親切にせよ」と。

子どもの頃親や先生に教わった人間として守るべき当然のルール。

そうした『当たり前』の規範に従って経営も行っていけばいい、と。

JALでも稲盛氏はそれを繰り返した。

経営とは何なのか?

改めて考えさせられるエピソードである。

« 原田泳幸の仕事の流儀/原田泳幸 | トップページ | それでもドキュメンタリーは嘘をつく/森達也 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 稲盛和夫 最後の闘い/大西康之:

« 原田泳幸の仕事の流儀/原田泳幸 | トップページ | それでもドキュメンタリーは嘘をつく/森達也 »