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2014年3月18日 (火)

世界史の誕生/岡田英弘

Photo 十三世紀からあとの歴史は、それまでのように、地中海・西ヨーロッパ世界の歴史と、中国世界の歴史とを、それぞれ別々に叙述することは、もうできない。モンゴル帝国が、一方で起こった事件が、ただちに他方に影響を及ぼすような世界を創り出したのだから、どうしても一本の世界史として書かなければならない。つまり、世界史は、モンゴル帝国から始まったのである。

本書で著者が述べているのは、世界史はモンゴル帝国の出現から始まったというもの。

歴史とは、人間の住む世界を、時間と空間の両方の軸に沿って、それも一個人が直接体験できる範囲を超えた尺度で、把握し、解釈し、理解し、説明し、叙述する営みのことである。

歴史は文化であり、人間の集団によって文化は違うから、集団ごとに、それぞれ「これが歴史だ」というものがあって、ほかの集団が「これが歴史だ」と主張するものとはずいぶん違う。

そう簡単に、世界の人類に共通な歴史、つまり世界史が可能になるはずはない。

そして、世界広しといえども、自前の歴史文化を持っている文明は、地中海文明と、中国文明の二つだけであった。

歴史は最初から普遍的な性質のものではなく、東洋史を産み出した中国世界と、西洋史を産み出した地中海世界において、それぞれの地域に特有な文化であった。

それが13世紀のモンゴル帝国の出現によってはじめて双方の融合が始まった。

現代の世界のインド人、イラン人、中国人、ロシア人、トルコ人という国民は、いずれもモンゴル帝国の産物であり、その遺産。

現代の世界の指導的経済原理である資本主義も、モンゴル帝国の遺産。

さらに、特記すべきことに、世界最初の紙幣を発行して成功したのもモンゴル人であった。

13世紀のモンゴル帝国の建国が、世界史の始まりだというのには、四つの意味がある。

第一に、モンゴル帝国は、東の中国世界と西の地中海世界を結ぶ「草原の道」を支配することによって、ユーラシア大陸に住むすべての人々を一つに結びつけ、世界史の舞台を準備したこと。

第二に、モンゴル帝国がユーラシア大陸の大部分を統一したことによって、それまでに存在したあらゆる政権が一度ご破算になり、あらためてモンゴル帝国から新しい国々が分かれた。

それがもとになって、中国やロシアをはじめ、現代のアジアと東ヨーロッパの諸国が生まれてきたこと。

第三に、北シナで誕生していた資本主義経済が、草原の道を通って地中海世界へ伝わり、さらに西ヨーロッパ世界へと広がって、現代の幕を開けたこと。

第四に、モンゴル帝国がユーラシア大陸の陸上貿易の利権を独占してしまった。

このため、その外側に取り残された日本人と西ヨーロッパ人が、活路を求めて海上貿易に進出し、歴史の主役がそれまでの大陸帝国から、海洋帝国へと変わっていったこと。

13世紀のモンゴル帝国の建国を、世界史のはじまりと見る著者の考え方は、確かに一理ありそれなりの説得力がある。

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