経営者が語るべき「言霊」とは何か/田坂広志
だから、我々経営者は、
安易に「客観的な予測」を求めてはならないのです。
そのようにして語られる「予測」は、
決して「当たる」こともなければ、
「言霊」が宿ることも、ない。
むしろ、「主体的な予言」を語ることによって、
「予言の自己実現」と呼ばれる世界を求めるべき。
それが、経営トップの役割です。
「言霊」とは言葉に魂が宿り、実現させる力となるというもの。
悪い意味でつかわれることも多いが、本書ではむしろ「言霊」に積極的な意味を持たせている。
経営者は「言霊」を語るべきだと。
経営者の語る言葉がむなしく空回りしてしまうことが多い。
どんなに立派なことを語っても、社員が影響を受けない。
どうしてこんなことが起こるのか。
それは自らが語る言葉を腹の底から信じ切っていないから。
また、人格が伴っていないという問題もある。
「何を語るか」が問題ではなく、「誰が語るか」が問題。
そして今の時代、予測することが難しくなってきている。
3ヵ年計画をたてても、1年もたたないうちに修正せざるを得ないということがよく起こる。
このような変化の激しい時代は、
「この市場は、これからどうなるのだろうか」
「我々は、どうすればよいのだろうか」
と考えるべきではない。
「この市場を、こんなふうに変えていこう」
「我々の力で、こうやって変えていこう」
そう考えるべき。
そして、そのビジョンを、社員や部下に対して、「客観的な予測」としてではなく、「主体的な意志」として語れるかどうか。
それが勝負になってくる。
しかし、もし、そのビジョンを「主体的な意志」を持って語ることができれば、それは、「主体的な予言」となり、力強い「言霊」となる。
未来を「予測」するのでなく「創造」することが大事だと。
「言霊」に積極的な意味を持たせるという視点は面白い。
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