ローマ帝国1500年の歴史/歴史の謎を探る会
一方、カルタゴが交易で栄え、西地中海の覇権を握っていたのは、強力な海軍を擁していたからで、海上戦でローマが勝てる見込みはなかった。にもかかわらず、第一次ポエニ戦争に勝利できたのは、ローマが「烏(カルウス)」と呼ばれる、新しい戦術を編み出したからである。
その戦術は、船首にとりつけた跳ね橋を相手の甲板に落とし、その跳ね橋を通って兵士が敵艦に乗り移るというもの。要するに、海戦でありながら、ローマが得意とする陸戦に似た、艦上での白兵戦に持ち込むという作戦だった。この新戦術を編み出さなければ、ローマはカルタゴに完敗していただろうとみられている。
ローマの歴史を研究する人は多い。
その中に様々な教訓が含まれているからである。
例えば、ローマとカルタゴが覇権を争って戦った第一次ポエニ戦争。
当時、ローマは地上戦では最強だったが、海上戦ではカルタゴが最強だった。
そもそもローマには本格的な海軍がなかった。
開戦後、あわてて軍艦を建造するが、当時の海戦は、船首にとりつけた鉄のくちばしのような武器で敵艦の横腹に穴を開けたり、櫂や舵を折ったりというもの。
戦果をあげるには高度の操船術が必要だった。
もちろん、そうした技術は一朝一夕で鍛えられるものではない。
ではなぜ、ローマは海上戦でカルタゴに勝てたのか。
それはローマが海上戦でありながら得意の地上戦と同じ状況を作り出したから。
「烏」と呼ばれる、その戦術は、船首にとりつけた跳ね橋を相手の甲板に落とし、その跳ね橋を通って兵士が敵艦に乗り移るというもの。
それによって、実質、海上戦でありながら、得意の地上戦と同じ状況を作り出すという戦術である。
海戦でローマが有利に立てたのは、「烏」と呼ばれる新しい戦術を考え出したからである。
これに対して、カルタゴは、対抗する戦術を編み出すことができなかった。
これなど、企業の戦略や戦術にそのまま当てはめて適用することができる。
企業にはそれぞれ強みと弱みがある。
そしてライバル社に勝つには、強みを生かせる場を作り出し、そこに相手を誘い込むことである。
そんなことを考えながらローマの歴史を見てみると、非常に興味深いエピソード満載である。
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