« 感じる科学/さくら剛 | トップページ | 人を見抜く、人を口説く、人を活かす/澤宮優 »

2014年5月19日 (月)

日本近代史/坂野潤治

Imagezfwt9ypi_2 盧溝橋事件の勃発からわずか二カ月後に、武藤貞一の『日支事変と次に来るもの』という本が新潮社から刊行された。本の奥付には、「昭和一二年九月七日発行」とあり、「初版五万部」とある。著者の武藤は朝日新聞の論説委員ながら、対中、対英戦争への国民的覚悟を煽った軍事評論家として有名であった。
 しかし、武藤には、右は右ながら、合理主義的な国防論、戦争論に徹するという一面もあった。彼は日中戦争勃発前にも、ソ連を陸軍の仮想敵、アメリカを海軍の仮想敵とする一九三六年八月の「国策の基準」を批判して、「露英米三国と同時に戦うことを想定する国防計画」はとうてい「日本の力に及ばない」と論じ、「大和魂と神風に依存する国防計画なんてあるもんじゃない」と言い切っている。

1937年の盧溝橋事件の直後に、ここまで暗い未来図を描いたものは、武藤貞一以外にはいなかったと著者は述べている。

この当時は国民全体がイケイケドンドンという空気である。

その中で、武藤氏は冷静に状況分析し、論説を書いている。

しかも武藤氏は朝日新聞の論説委員だったということ。

今の朝日の記者とはえらい違いである。

今、集団的自衛権について、マスコミ各社はかなり偏った感情的な報道をしている。

右であろうが左であろうが、国民が求めているのは、一時の感情に流されない冷徹かつ合理的な議論ではないだろうか。

« 感じる科学/さくら剛 | トップページ | 人を見抜く、人を口説く、人を活かす/澤宮優 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 日本近代史/坂野潤治:

« 感じる科学/さくら剛 | トップページ | 人を見抜く、人を口説く、人を活かす/澤宮優 »