人を見抜く、人を口説く、人を活かす/澤宮優
河西ほど、第一印象を大切にしたスカウトはいなかった。彼は投手は一球、打者は一振りで、プロで使えるか判断した。ここで、ぱっと閃くインスピレーションを大事にした。選手を追いかけて何度見ても、粗だけが見えて、判断に迷いが生じるからである。
その感覚は、男性が通りすがりの異性を振り返って見ることに似ている。路地などの小さい道で、美人の女性とすれ違う。一目見て美女であれば、立ち止まって振り返る。 「あ、きれいだな」 と、この瞬間の印象である。
プロ野球のスカウトはいかに、人を見抜き、口説き、活かすのか。
様々なエピソードで、そのポイントが本書では記されている。
プロ野球では、一人の金の卵に数千万を支払う。
でもそれは本当に金の卵なのか。
もしかしたら、一勝も上げられず、あるいは一本もヒットを打たずに終わってしまうかもしれない。
もし、スカウトの目が節穴だとしたら、お金をドブにすてるようなものとなる。
それだけに、プロ野球のスカウトのノウハウは、ビジネスの世界でも十分に応用できるものではないだろうか。
スカウト歴40年の河西氏は、結局最後は、ぱっと閃くインスピレーションだという。
当然、閃きだけで決めるわけではないだろう。
様々な角度で分析するはずだ。
しかし、最後はやはりインスピレーションだという。
経験に裏打ちされた言葉だけに、重みがある。
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