書くだけで自分が9割変わる/中司祉岐
たとえるなら、私たちが抱えた不安は「水」のようなものです。形がないのでつかみどころがありませんが、確実に存在します。
ただ、水はコップに注げばコップの形になるし、ペットボトルに詰めればペットボトルの形になります。このように形を与えれば、水を飲んだり持ち運ぶことも簡単にできるようになります。
私が「紙に書き出して問題を明確にしよう」と提案するのも、水に形を与えるのと同じことです。私たちを覆うもやもやとした不安は、きちんと見つめ直して具体的な問題として把握することで、いかようにも対応が可能になります。
見えない敵との消耗戦は、もうやめにしましょう。
本書の著者、中司氏は一日7分間、今日起こったことをノートに書くだけで自分が変わるという。
これはある意味、合理的な考え方である。
人が不安を感じるのは、その対象物が得体のしれないものだからである。
つかみどころのないものであるが故に人は不安に感じる。
だったら、まず、書くことによって、何が問題なのかをはっきりとつかんだらどうだろうということである。
よく、私たちが不安に思っていることの9割は起こらない、という。
漠然としたものであるからこそ、人は不安に感じるのである。
言葉を換えて言えば、見えない敵と戦っているようなもの。
だったら、まず敵の正体をしっかりとつかんだらどうだろうということである。
見えない敵は、見えないがゆえに自分で勝手に想像して敵を巨大化させがち。
もし不安や懸念のもとをたどって問題を可視化すれば、じつは悩むべき問題ではないかもしれない。
もちろん問題を紙に書いて明確にした結果、じつは深刻であることがわかる場合もあるかもしれない。
ただ、深刻な問題であることが明確になれば、それはそれで問題解決に向けて一歩前進したことになる。
わからないまま放置して問題がより根深くなるよりいいし、気持ちの面でもすっきりするのではないだろうか。
実行してみる価値はありそうである。
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