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2014年6月12日 (木)

なぜ日本企業では情報共有が進まないのか/田坂広志

Photo 「監督、やはり勝因はデータ重視のID野球でしょうか?」
 しばしの沈黙のあと、野村監督が口を開きます。
 「データ重視の野球ならば、いまどき、どのチームでもやっていますよ。どのチームもスコアラーを派遣して、しっかりとデータは集めているのではないですか。大切な問題は、そうした膨大なデータのなかから、その試合に勝つためのポイントを直観的に見つけ出し、選手に、これとこれと言って簡潔に教えてあげることですよ」

上記は97年の日本シリーズで西武を破り、日本一に輝いたヤクルトの野村監督が、テレビのスポーツ番組に出演し、「ヤクルトが日本一になった勝因は?」との質問を受けたときの答え。

インタビューアーは「勝因はID野球」という言葉を聞きたかったのだろうが、監督の口からでた答えは違ったものだった。

データを集めただけでは意味はない、問題はその中から勝つためのポイントを見つけ出すこと、という監督の言葉は本質をついている。

これは企業経営にもそのまま当てはまる。

たしかに、現在のITの進化の流れの中で、「ビックデータ」「情報共有」といった歌い文句が飛び交っている。

あたかも最先端のデータベースを導入すれば、黙っていても情報共有が進み、企業の戦力がアップするような錯覚に囚われてしまいがちだ。

しかし、この野村監督の話は、こうした錯覚から目を覚ましてくれるものである。

実際、企業情報化において、どれほど膨大なデータを集め、どれほど最先端のデータベースを構築しても、それだけでは、決して企業の戦力アップにはならない。

それらの膨大なデータのなかから、大切な「ポイント」や「要点」をつかみ取り、現場の第一線で顧客や他社と格闘している部隊に対して、これとこれと言って簡潔に教えてあげなければ意味はない。

そして、その役割を果たすべき立場にあるのが、マネジャー。

更に、今、求められているのは、ナレッジ・マネージャーだと著者は言う。

以前、ITが進化するとマネージャーが不要になるのではという議論がなされたが、どうも逆の流れが出てきている。

膨大な情報を生きた情報にし組織で共有する働きをするナレッジ・マネージャーが本当に必要な時代になってきたようだ。

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