ぼくらの祖国/青山繁晴
ぼくが祖国を知ったのは、大学を卒業して社会人になり、仕事で世界の現場を歩くようになってからだ。
世界のどこの国の学校でも「祖国」を真っ先に教えることを知った。
たとえばメキシコで公立の小学校や中学校を訪ねると、ぼくたちと同じように、週間当番がある。そして毎週月曜の朝に、当番が交代する。その交代のとき、メキシコの公立小中学校では、生徒たちが正装し国旗をかかげて校内のグラウンドを行進しつつ、国歌を高らかに歌う。それが交代式なのだ。子供たちが国旗と国歌にみずから敬意を示す行進が、「今週は自分たちが学校に責任を持つんだ」と自覚するためのセレモニーを兼ねている。
世界広しと言えども、祖国、そして祖国愛を教育の土台におかない国は日本しかない。
日本では祖国愛と言えば、右翼だと思われてしまうが、その感覚自体がおかしい。
自分の生まれた国を愛することは当たり前のことである。
今、サッカーワールドカップが行われているが、日本人が日本代表を応援するのは当たり前のことである。
それをナショナリズムだということの方がどうにかしている。
本書では、著者が3.11後の福島、硫黄島等を歩いて、自分の目で見て、感じて、考えて、思ったことを率直に語っている。
自分の生まれた「祖国」について深く考えさせられる本である。
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