集団的自衛権/佐瀬昌盛
私は二百に近い世界の独立国のすべてについて調べたわけではないから日本が最多だと断定する自信はないが、これほど多数回にわたり集団的自衛権の保有が国際条約上、確認されている国がきわめて珍しいことだけは間違いない。そのうえ、日本国憲法第九八条二項では、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」と規定されている。そのくせ、「国際法上は保有、だが憲法上その行使は不可」という牢固たる政府解釈がある。こんな解釈を持っている国は、日本以外にない。
今、集団的自衛権についての議論が盛んになってきている。
そのため、少しは内容を知ったほうがよいと考えて読んでみたが、読めば読むほど、複雑だと感じる。
ただ、わかったことがある。
それは、こんなことで大まじめに議論している国は日本以外にはないということである。
そもそも国連憲章で集団的自衛権が定められており、日本はそれを順守すると憲法で規定しているわけだから、本当はそれで議論は終わらせてもよさそうなもの。
ところがこれまでの憲法解釈の経緯から、この議論は複雑化してゆく。
そして今、日本では右や左の大騒ぎ。
感情論に走ることなく、もう少しまともな議論をしてほしいものだ。
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