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2014年8月 7日 (木)

『俺のイタリアン』を生んだ男/尾崎弘之

Photo 「一人前の寿司屋になるには10年かかると言われてきました。(中略)職人気質の寿司屋さんは『回転寿司なんて寿司屋じゃない』とよく言うけど、それは寿司マーケットの需要からみて違うのではないだろうか。(中略)極端な話、10年もかかるというのは能力がないだけなんじゃないの? ほんとは能力あるやつなら2年で覚えるんじゃないの? 私はそう思っているんですけどね」一人前の料理人になるのに10年かかる「10年育成説」に坂本が疑問を感じたのは昨日今日のことではなく、長年抱いていたテーマだったのだ。

「うちは飲食業でなく人材育成業です」

坂本氏が常々使う表現だという。

それ位、人材育成には力を注いでいる。

確かに一流シェフを売り物にしている以上、そのような人材を短期にいかに育成できるかということは緊急の課題であろう。

そしてその壁になっているのが「業界の常識」である。

料理人の世界には「10年育成説」というものがある。

坂本氏はその説にも疑問を投げかける。

何故、「10年育成説」は今でも残っているのか?

日本がまだ貧しかった頃は、小学校や中学校を卒業したばかりの子供たちが料亭で丁稚奉公をしながら修行していた。

「技は盗むもの」という考え方が根強くあり、先輩は後輩に教えない。

後輩は先輩の作った料理の皿洗いをしながら、なべの底に残ったダシを舐めながら味を盗もうとする。

先輩は後輩に技を盗まれないよう、なべ底に残ったダシに塩を混ぜて邪魔をする。

そんなこんなで時間はどんどん過ぎてゆく。

多くの者はその厳しさに耐えられず脱落してゆく。

そんな中でごく一握りの人間がブラックな環境の中で這い上がり一人前の料理人として育ってゆく。

そういう世界で「10年育成説」というのが生まれたのであろう。

おそらく今でも多くの料理人の世界では似たようなことが行われているのではないだろうか。

でも、今の時代、こういう修業は意味があるのだろうか。

料亭の見習いが皿洗いや庭掃除をすることは人間性を高めるために必要という意見もある。

ところが、今の料理専門学校を卒業した人達は20歳を超えており、大学を卒業して入り直した人も少なくない。

皿洗いは必要だろうが、修業中に料理技能を教えないというのは合理的でない。

そのような分析から「もっと短期に育成できるのでは」という発想が生まれる。

「常識を疑う」ということがいかに大事かということである。

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