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2014年8月23日 (土)

現代中国悪女列伝/福島香織

Photo この頃から、開来は「平気で邪魔な人間を殺せるような怖い女」とささやかれるようになった。当時大連に進出していたある日系企業関係者は「法律上のトラブルは彼女の事務所に依頼しておけば百戦百勝。いざとなったら相手を事故や自殺を装って殺してしまうことだってできるんですから」と本気とも冗談ともいえない口調で述懐していた。

本書には、中国の様々な悪女が登場する。

上記の薄熙来の妻、谷開来もその中の一人であるが、

開来も文革で大勢の人々を死に追いやった江青の残虐さには遠く及ばない。

だが、自分の中の卑屈さと闘いながら、男たちを踏み台にして、欲しいものを次々と手に入れていく様子は共通している。

そしてそのスケールと悪さ加減において、日本の悪女とは格が違うという印象である。

おそらくそれは彼女らは中国という国家の環境が作り出したものだからであろう。

中国は先の大戦後の状況だけをみても、繰り返される動乱と苛烈な宗教・思想の弾圧、社会・経済の二元化と対立の激化で、安心感をかもす要素は何ひとつない。

才能と努力だけではどうしようもない厳しい社会階層があり、生まれた場所や家庭が人生を決定的にふりわけてしまう。

報われない人たちを慰める思想も信仰もない。

女たちは悪女にならねば、プライドどころか命も人生も虫けらのようにつぶされかねない。

生きるために持てる武器を総動員して戦っていけば、頂上近くに勝ち残った者は誰もが程度の差こそあれ悪女になっている。

彼女らの人生は読み物としては面白いし、痛快な面もあるのだが、

もし自分の近くにいたらと想像するとゾッとする。

日本に生まれてよかったとつくづく思ってしまった。

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