男性論/ヤマザキマリ
やっぱり「変人」はおもしろい。ルネサンスに「変人」はつきものではないか。ジョブズを生んだのが、競争にシビアでありながら、野心ある人に対して懐深く、多様な人材を受け入れる土壌を持つアメリカであることもまた、偶然ではないでしょう。であれば、空気を読むことや、変人すぎないことをつねに求められる現在の日本において、ルネサンスの風は吹きにくいのでしょうか? わたしがひそかに憂う問題はそこ。
イタリア人と結婚し、イタリアで暮らす著者にとって、男性としての魅力という面では日本人は劣っているよう見えるようである。
それはよくわかる。
以前、イタリアと同じラテン系のギリシャに旅行し、男性の顔の彫深さを見たとき、「これはかなわない」と思ったものだ。
本書を読み、姿かたちだけでなく、内面を見ても、日本人男性は魅力がないのではないだろうか、と思ってしまった。
日本では空気を読むことが求められる。
個性的であれと言われながら、一方で空気を読むことも求められる。
これで個性的な人材など生まれるはずがない。
もし個性的な人材を求めるのであれば、「空気を読みすぎない」または「空気を無視する」ことが必要ではないだろうか。
でも、この発想自体、日本的なのかもしれない。
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