誰が太平洋戦争を始めたのか/別宮暖朗
今でも日本では、「首脳同士」で詰めよという議論が外交紛争のたびに起きる。しかし、その前に両国の下僚の間で妥協点を詰めておかねば、首脳同士でいくら話しても無駄なのである。首脳外交は、ヤクザの親分同士の手打ち式のようには進まない。木戸幸一は、
「日本が二階に上って美しい景色を見ようと誘うと、アメリカは予めどんな景色か言えという。日本は、とにかく上ったら判ると主張する。それで結局話ができなかったようなものだ」と評した。
日本は歴史的に外交下手である。
その原因の一つに、日本人のメンタリティがあるような気がする。
日本人の中には「話せばわかる」という思いがある。
思い込みといってもよい。
だから、「膝を突き合わせて」とか「腹を割って」という言葉が出てくる。
しかし現実はそうではない。
話してもわからないことばかりである。
「話せばわかる」という前提で話し合うのと、「話しても分かり合えることはない」という前提で話すのとでは、期待する成果に大きな違いが出てくる。
前者は、話し合うことに多大な期待を持つ。
一方、後者は、そんなものは最初から持たない。
そのうえで、適切な妥協点を探る。
結果、この方が現実的で、勝ち取る成果も大きくなる。
日本人の外交下手、交渉下手の原因に日本人のメンタリティがあるのは明らかだ。
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