人を育てる期待のかけ方/中竹竜二
画一化、カテゴリー化を超えて、その仕事に本当に適した強みを持つ人を見極め、経営企画室に、人事に、営業の現場に配属できるか。それが、企業にとっては真のダイバーシティだと思うのです。
自分らしさをカミングアウトできる。
それをその人のスタイルとして、それを活かした期待をかけられる。
それが、期待の哲学です。
人は他から期待されると、力を発揮するとは限らない。
その期待のかけ方によっては、その期待に押しつぶされてしまうこともある。
オリンピックで「絶対に金メダルを取るであろう」と期待された選手が、それがプレッシャーになって力を発揮できなくなってしまう、という例は枚挙にいとまがない。
つまり期待のかけ方によって、人は活きることもあれば潰れることもある。
そう考えると、期待のかけ方は難しい。
著者は、正しい期待について3つのポイントをあげている。
まず第一に、前提として、実際に行動するのは「他者」であることを認識し、自分の勝手な思い込みを押し付けないこと。
第二に、自分の期待は、相手の「こうなりたい」とマッチしていること。
第三に、期待の内容が、具体的であること。
これらを満たすものが、正しい期待の定義だという。
更にこの定義を満たすためのポイントはVSSにまとめることができる。
・V(ヴィジョン)=期待をかける相手が目指すべきゴールを共有する
・S(ストーリー)=そこまでの道のりを明らかにして、ぶつかる困難を想定し、対処法をすり合わせておく
・S(シナリオ)=期待をかけられる側が困難に陥ったとき、かける側がどんなふうに励まし、支援するのかを考えておく。あるいは、それを乗り越えるために、期待をかける相手がどんなふうに振る舞うかをすり合わせておく
重要なポイントではないだろうか。
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