山本五十六(下)/阿川弘之
このころには海軍部内でも、ことに少壮の士官たちの間で、もはや開戦に踏切るべき時だという空気は、かなり濃くなっていた。
日本ではカリスマ的なリーダーが意思決定して集団を動かすということはほとんどない。
ほとんどの場合、意思決定は「空気」がする。
国の行く末を決める開戦の決定も、結局のところ「空気」が行ったといってもよい。
この「空気」にはどんな強いリーダーも抗えない。
これに逆らったが最後、その人物は立ち行かなくなる。
ましてや戦前の日本。
この「空気」の存在は絶大。
日本の戦争責任があいまいになるのも、結局、「空気」がその主体だったからだろう。
これは外国人には到底理解できないことである。
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