続・金融腐蝕列島 再生(下)/高杉良
「いまは非常事態なんだ。書生っぽみたいなことを言うなって。一にも回収、二にも回収。おまえ、支店長の立場がぜんぜんわかってないなぁ」
「優良取引先の口座凍結なんて、俺にはできない。銀行のあり方として、おかしいと思わないのか。自分で自分の首を絞めるようなことだろうに」
バブル崩壊後、銀行の貸し渋り、貸し剥しが社会的問題になった頃のことを思い出す。
「銀行は、晴れの日には傘を貸してくれるが、雨が降ったら傘を取り上げる」とよく言われたものだ。
原因は「銀行のミッションは何か?」ということへの自覚がなかったからではないだろうか。
銀行に限らず、すべての企業には「ミッション」がある。
「ミッション」とは「使命」であり「存在価値」である。
「わが社は何のために存在しているのか?」
この点が不明確だと、経営環境が厳しくなればどうしても利益の確保を優先させてしまう。
もちろん、利益を出さない限り、事業の発展はないわけだが、それが目的になってしまうと様々な問題が起こる。
「ゴーイングコンサーン」、「企業は永続させることが大事」だとよく言われるが、そうであるならなおさら、企業のミッションを真剣に考えるべきではないだろうか。
でもこんなことを言うとと「書生っぽい」と言われてしまうのだろうか。
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